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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

アジアカップ2015の日本代表と、今後の日本サッカーの進む道を個人的に勝手に書き散らす。

初の南半球、オーストラリアで開催された2015アジアカップでの日本代表の戦いは、UAEとのPK戦で本田と香川の両エースが外すという、よくあるといえばよくあるパターンの末に敗れて終わった。


日本のアジアカップ連覇ならず、PK戦で散る…準々決勝敗退は5大会ぶり (SOCCER KING) - Yahoo!ニュース

 

前回のカタール大会のザッケローニとは違って、ブラジルW杯の惨敗後(むしろ前から)積極的に後任探しをしていた日本サッカー協会(以下JFA)は、早々にハビエル・アギーレを新監督に迎えることに成功した為、今大会前にはテストマッチを6試合も行うことが出来た。

新戦力として武藤、柴崎など、今後アギーレの「申し子」となりそうな選手がいたにはいたが、結局本大会のスタメンでザッケローニと明らかに違うメンバーだったのは乾(酒井高徳に関しては内田が離脱しなければスタメンはなかっただろうと思う)のみ。4-2-3-1と4-3-3(変形4-1-4-1かな?)というフォーメーションの違いはあるが、今野と遠藤を呼び戻してみたりと、スペイン時代からリアリストで有名なアギーレらしい(つまり、直近のタイトルであるアジアカップを取る為の)人選でグループリーグに臨み、盤石の試合運びで楽々とトップ通過した。

ここまでは、まさにディフェンディングチャンピオンらしい戦いを見せてくれてはいたが、サッカーは相手があっての事。ここからが本当の戦いという、ノックアウトラウンドの初戦で日本は敗れてしまった。

結果としてみれば、96年UAE大会以来のベスト8敗退。アギーレジャパンのアジアカップは近年稀に見る失敗に終わったと言ってもいいだろう。内容は悪くなかったし、試合のマネジメントもグループリーグでは上手くいっていると思えただけに、この敗退は本当に残念だし、ショックだった。

試合後の本田はこう語っている。

「現実、前回優勝して今回優勝できなかったから、前回が上回っているかと言えば、結果ではそうなのですが、やはりいろいろなものを見たらそうではなくて。前回はよく優勝できたなという中で優勝したわけですし、クオリティー、チームの完成度という点では、サッカーの戦い方においては、完成度は今回の方が高かったと思います。でも、それと勝負は違うというのを今回痛感させられました」

個人的にも、今回のチームはW杯からさほどメンバーが変わってないこともあり、チームの完成度というか、成熟度という面では4年前より高いと思っていたし、実際に高かったとも思う。それだけに…

 

UAE戦のスタッツを見てみると、35本のシュートを放った日本に対し、UAEはわずか3本。ボールポゼッションは日本が64%で、コーナーキックの数に至っては日本が18本に対しUAEはなんと0。数字で見ればどれだけ日本が圧倒していたかがわかる。だが、これでも負けることがあるのがサッカーであり、負けたのが日本代表なのだ。

 

今大会のUAEは、本国では「黄金世代」とされているチームで、プレーもダイナミズムに溢れ、クラシカルな10番タイプであるオマル・アブドゥルラフマンや先制点を取ったマフブートなど、勢いに乗せると爆発的な攻撃力を発揮する選手がいる。正直、先制点だけは与えたくなかったのだが、UAEが試合序盤に選手のポジションをコロコロ変えながら日本代表を混乱させている間に、DFの裏にパスを通されて失点してしまった。シュートも見事ではあったが、このUAEの柔軟な戦いぶりは、長い間同じメンバーで戦っているチームならではの成熟度だった。

気になって2012年に新潟で対戦したメンバーとどのくらい変わったのかと比べてみたら、前線の選手は殆ど同じメンバーだった。まあ、日本代表もその時とメンバーが劇的に変わったのかといわれれば、そうではないのだが、あれから3年経っても結局日本のエースストライカーは決まらずじまいだった。

ちなみに、よく日本が負けると「日本は弱い」といい、日本が勝つと「相手が弱い」と語って終わってしまうジャーナリストや批評家がいるが、それは相手へのリスペクトを欠いていると思う。今日の試合は、まさにマフディ・アリ監督の作戦勝ちといったところだろう。


強気なUAE監督「日本の守備陣は3試合で力を試されてない われわれは違う」 ― スポニチ Sponichi Annex サッカー

なぜグループリーグでもう少しターンオーバーしなかったのかとか、UAE戦に限って言えば、相手のハイテンションな入りにわざわざ付き合ってしまったり、長友が負傷した後の対応は本当にアレで良かったのかなど、今回の日本代表に対して検証しなければならない事は沢山あるし、批判もあってしかるべきだろう。だが、感情的になって日本サッカーを全否定してしまうようでは、やっていることが中東や中国と大差ない。

 

問題は、やはり決定機をことごとく外し、PK戦までまんまと持ち込まれてしまったことだ。70分過ぎからUAEの運動量が落ち、守りを固めて逃げ切ろうとしていただけに、同点に追いついたあたりからの怒涛の攻撃が実らなかったのは、間違いなく大きな敗因の 一つに挙げられる。PK戦は運もあるという人もいるだろう。それはたしかにそうだが、同点に追いついてから90分内で試合を決められるチャンスは、どう少なく見積もっても3つはあった。その内の一つでも決めていれば長友が怪我をすることもなかったのだ。決めるときに決めておかないとそれ相応のしっぺ返しを食らうのがサッカーだが、今回日本代表が負った痛手は相当なものとなる。

 

コンフェデレーションズカップに出る事が、必ずしもW杯での飛躍につながるわけではないことは、ザックジャパンが証明しているが、それでも世界の強豪とそれなりの勝負ができる大会に出られないのは残念だし、次回はアジアカップの予選を戦わなければならない。日本代表は近年、国際Aマッチデーを使って欧州遠征などをしていたが、そういうプランにも影響が出てくる。

 

なにより大きいのは、日本代表のイメージダウンだろう。今後は「世界にはかなわないまでもアジアでは最強」のようなキャッチコピーが使えなくなるのだ。

日本代表のサッカーがアジアでトップクラスなのは間違いないし、否定する気はないのだが、プロは結果が全て。アジアカップのベスト8で敗れてしまったという事実は、暫くの間ついてまわるだろう。巧みなイメージ戦略で日本代表人気を高め、スタジアムを満員にする。そして、その収益を日本サッカー全体の強化のために使うというJFAが今まで回してきたサイクルが、今後は上手くいかなくなる可能性もある。それは、後々ボディーブローのように効いてくるかもしれない。

 

加えて、アギーレ自身がスペインでの八百長疑惑の渦中にいるため、今大会の結果をもって監督の交代劇が起こる可能性も捨てきれない。あくまでJFAはアギーレで行くという方針を打ち出してはいるが、実際のところ出廷を求められながら代表監督としての業務を続けられるのかという点や、日本代表に対するネガティブなイメージをJFAが許容するのかなど、この問題に関しては不確定要素が多すぎる。


大仁会長、アギーレ監督の続投を示唆 (フットボールチャンネル) - Yahoo!ニュース

 

三浦知良を失って以来、日本代表のエースストライカーはずっと不在のままだ。日本のように、中盤の人気が異常に高い国では、どうしてもエゴにあふれたストライカーが生まれにくい。釜本邦茂三浦知良は突然変異のように現れた奇跡(カズの場合は若くしてブラジルに渡ることによりハングリーさを身につけたという面もあるが)のようなものなのだろうと思っている。「超一流のストライカー」は育てられない。生まれてくるものなのだ。だが、確実に強くなるためには、奇跡を待っているわけにはいかない。

決定力不足に困っていない国は世界に無いと言われているが、日本も長年悩まされ続けている課題であることは間違いない。ストライカーに関しては、若くして海外に渡ればいいのかと言われれば、決してそうではないことを平山や森本、指宿が証明している。

結局、今のように決定力が低くても山のようにチャンスを作って、その幾つかをモノにする精度を高めるサッカーを続けるしか無いのだと思う。日本が、イブラヒモビッチクリスティアーノ・ロナウドのような、強靭なフィジカルと決定力を持った選手を手っ取り早く欲しがるのであれば、外国人を帰化させてしまうしか解決策はない。

 

元日本代表監督の岡田武史が以前に語っているように、サッカーに正解は無いのである。だから、それぞれスタイルがあり、戦術があるのだ。

そして、日本にもショートパスを主体としたサッカーという立派なスタイルがある。よく、「日本にはサッカーのスタイルがない」という人がいるが、そんなことはない、はるか昔に、すでに日本はショートパスメインのサッカーを自らのスタイルであると自覚していたのだ。

1936年、ベルリンオリンピックにおいて、「ベルリンの奇跡」といわれた番狂わせを演じたチームの立役者、松永行の言葉を最後に引用しよう。

『さて日本蹴球は、果たして世界のレベルに達してゐるかといふ疑問は自然起る。前述の如く、精神的方面に於ては断然世界レベル以上だ。
して又スピードを持ったショートパスに於てもレベル以上だ。このショートパスに関して、独逸の或権威者は、これだけは日本より学んだと言ってゐる。
 
これだ、ショートパスの速攻法をあくまでも伸ばし、之に加へるに遅攻法をとり、緩急よろしきを得て、始めて日本蹴球の完成の時は来るのであると同時に、この時こそ世界蹴球覇者たり王者たる時なのである。
 
個人技を練磨せよ。
 
これこそ日本蹴球人に輿へられた唯一の課題なのである。』
 
(大日本体育学会編、目黒書店発行 『体育と競技』 v.15 no.11 1936.11)

 それからおよそ80年。精神面が世界トップクラスなのかはさておいて、これは今でも通用する言葉であり、そして課題でもあると、個人的には思う。