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自分用備忘録的な何か。

レトロゲーム回顧録その7 グラディウスIII -伝説から神話へ-

ゲーム レトロゲーム レビュー

グラディウスIII -伝説から神話へ- (以下III)の話を初めて聞いたのは、友達が自分の町から電車で一時間ほど離れた、ちょっと大きな町のゲームセンターに行ってきた次の日の事だった。折しも、グラディウスII(以下II )が住んでいた町のゲームコーナーに入荷し、限られたお小遣いを駆使して攻略に励んでいた頃だった。

どうやら大きな町のゲーセンにはもうIIIがあるらしいとの報告は、中学生時代の自分たちの心を揺さぶった。これはどうしてもプレイせざるを得ないということで、ある時友達数人と一緒にIIIの為に遠征を計画したのだ。

そうまでして出会ったIIIは、自分たちの想像を遥かに超えたゲームだった(主に難易度的な意味で)。

GRADIUS III(AC) TYPE-C Full Run part-1 - YouTube

 

シューティングゲーム(以下STG)史上に残る大傑作として名高いIIの続編として、IIIがリリースされたのはIIから1年9ヶ月後の1989年12月。ちなみに、同じ時期にカプコンのファイナルファイトがリリースされ、その後、ゲームセンターの花形ジャンルがSTGから格闘スタイルのベルトスクロールアクションへと移り変わろうとしていた。そしてやがて格闘ゲームの大ブームがやってくるのである。

振り返ってみると、IIIは色々な問題を抱えたゲームでもある。

まずいちばんの問題はその難易度だろう。このゲーム、当たり判定がやたら大きいのだ。今のSTGの当たり判定は、中央部分1ドットしかないなどというのが当たり前だが、このゲームはキャラの見た目よりも当たり判定が大きいのが殆どである。なので、避けたつもりが死んでいたという「詐欺判定」が発生するのだ。

それと、どういうわけかわからないがステージクリア後に突然死ぬことがある。条件はよく知らないのだが、とにかくそういうバグっぽい死を迎えることが、低確率だがあるのだ。これを「面クリピシャーン(ピシャーンは死んだときの音)」という。

あと、個人的にも後に買ったPS2版での最高到達点である9面。ここの難易度がもう尋常では無い。画面の右から飛んでくるキューブが自機に向かって襲いかかり続けるという、狂気の沙汰としか思えない「キューブラッシュ」が存在するのだ。


Gradius 3 cube rush - YouTube

このキューブラッシュの問題点は、一部のキューブにランダム性があるので、完全にパターン化することは不可能という点だ。つまり、どんなに上手くて何周も出来る人でも死ぬ時は死ぬのである。これは、復活パターンを芸術の域まで高めた過去のグラディウスシリーズからすれば、欠陥ともいえる大問題である。

ただし、難易度に関してはIIIだけが突出して難しかったのではなくて、この時期のSTG全体が高難度化していた。STGというジャンル自体がもう進化の袋小路に入りつつあり、ユーザーも「やり込む人orそもそも手を出さない人」の二極化が進んでいた。こういう時期は、どうしてもヘビーユーザー向けにジャンル自体が高難度化、複雑化の方向に進んでしまうのだ。まさにSTGはその頂点の時代に近づきつつあった。

次の問題はそのプレイ時間の長さだ。ゲーム開始後、テクニカルとビギナーという二つのモードが選べるが、ビギナーは三面で終了のお試し版のようなものだ。だが、中学校時代の自分はこのビギナーモードをクリアするのにも数週間を要した。それほどIIIは難しかったし、三面をクリアするだけでも20分以上、テクニカルに至っては一周一時間かかる長いゲームでもあった。ゲームセンターはインカムも重要な要素なので、この長さはゲーセン側にしても問題である。

そして最大の問題点は、「無敵技」と「永久パターン」の発見だ。個人的にこの二つのバグのことは当時は知らなかったので、実際にやったり見たことはなかったのだが、どちらも、ゲーセンのゲームとしてはあってはならないものだ。この二つの問題によって、アーケード(以下AC)ゲーム専門誌「ゲーメスト」のハイスコア集計は打ち切りとなり、シリーズ伝統の一千万点神話も途切れてしまった。後に、バグを修正したバージョンがリリースされたが、今のようにネットワークでパッチ修正が出来る時代ではなかっただけに、残した汚点は大きいと言わざるを得ない。 

と、色々な問題を抱えたIIIではあるが、程なくしてわが町のゲームコーナーにも入荷する事となり、嬉々としてやりまくった。IIIは自分としては一番思い入れの強いグラディウスでもある。IIIをプレイするためにほぼ毎日ゲームコーナーに通っていたし、個人的にいままで一番入れ込んだACゲームなのだ。結局クリアすることは出来なかったが、「シリーズで一番好きなグラディウスは?」と聞かれれば、迷わずIIIと答える。

特に好きなのはやはりその透明感あふれるサウンドだ。


Gradius 3 OST - Departure for Space.wmv - YouTube


Gradius 3 Arcade - Sand Storm (Level 1) - YouTube

ゲーム開始直後、コーラスの入った壮大なイントロから空中戦、そして1面の音楽へと切り替わっていく流れは一番のお気に入りで、それを聞きたいがためにサウンドトラックも買った。ちなみに、このサントラは自分が生まれて初めて買ったアルバムCDである。

そして、忘れてはならないのがスーパーファミコン(以下SFC)版のグラディウスIIIだ。

グラディウス3

グラディウス3

 


グラディウス3(SFC) 1面 - YouTube

中学生の時、正月に町のお寺の御札配りというのがあって、それを手伝った時に、なぜかそのお寺にあったSFCで遊んだのが最初だった。

第一印象は「偽物」

サウンドもグラフィックスもステージ構成も全てが色々とカットされているように見えたのだ。あの厳しい難易度こそIIIの本質であり、二面の泡に押しつぶされそうにもならないような、三面の岩が壊せてしまうようなこのゲームはIIIではないという、いわゆる移植作品としては失格の烙印を押し、それ以降プレイすることは無かった。世間的にも「ニセディウス」などと揶揄されたりもしたものだ。

だが、大学生になって、ワゴンセールで売られていたIIIを買って遊んでみると、意外なことに気がついた。「ACの移植」として考えると、確かに違いが目立つのだが、一つのゲームとして考えると、バランスが取れていて面白いのだ。そう、かつてのファミコン版のIやIIのように。

よくよく考えてみると、このSFC版にも副題が付いていない。つまり、AC版とは別物のアレンジ移植版なのだ。なまじグラフィックスがSFCになってAC版に近づいたが為に、完全移植版なのかと勘違いしてしまうが、やはりSFCといえども当時のAC基板との性能差は歴然だったのである。

そう考えると、このSFC版は、もはや常人ではクリアどころか、まともにプレイすることすら不可能になってしまった、AC版の再調整とも言えなくもない。一部の武器が強くなりすぎている感があるが、まともに遊べるゲームに仕上がっていることを考えると、AC版も十分な調整をする時間があれば、もっと素晴らしいゲームに仕上がった可能性もあったのかもしれない。

この後、ACのグラディウスシリーズは1999年の「グラディウスIV -復活-」まで少しの休眠期間に入ることになる。だが、その頃には既にSTGは冬の時代を迎えており、もはやグラディウスがゲーセンの主役に返り咲くのは不可能になっていたのだった。