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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

「アギーレ監督の後任候補」報道に踊らされないために。

日本代表監督辞退祭り

ハビエル・アギーレが解任されて以来、日本代表後任候補に関するニュースが喧しい。中でも多いのが、「日本サッカー協会(以下JFA)からオファーが来たが、断った」というものだ。


プランデッリ氏 日本代表監督の打診断る「受ける気にはなれない」 ― スポニチ Sponichi Annex サッカー


またフラれた…マッツァーリ氏、日本代表監督辞退 伊紙報じる - サッカー - SANSPO.COM(サンスポ)


大物に断られていた…日本協会、後任監督候補5人前後に (2/4ページ) - サッカー - SANSPO.COM(サンスポ)


元イングランド代表監督のホドル氏も日本代表監督就任を断る (ゲキサカ) - Yahoo!ニュース

 

本当に「オファー」なの?

アギーレ解任会見の時に、大仁邦弥会長が「万が一のことを考えて調査はしていた」とはいっていたものの、本当にこんなに手当たり次第に「オファー」を出して断られているのだろうか?個人的には疑わしいと思う。

 

よく「オファー」と一括りにされてしまうが、例えば日本のメディアがオファーと読んでいるものの中には、ただの「身分照会」が含まれていることが多い。

「身分照会」とは、今回の件で言えば「現在、日本代表の監督を務められる状態にあるのかどうか。あるいは、その気があるのか否か」を問い合わせる事を言う。で、「オファー」とは、具体的にこのくらいの年俸で、このくらいの契約期間で、こういう目標を達成して欲しいと提示することである。わかりやすく例えると、友達に「今ってなにしてるの?仕事?バイト?それともニート?」とか聞くのが身分照会であり、「仕事してないなら、うちでバイトしない?時給は680円ね(最低賃金)」などと誘いをかけるのがオファーだ。

選手の移籍報道などでもよくある事なのだが、とにかく日本のメディアや海外の移籍情報専門サイトなどでは、この身分照会を全て「オファー」としてしまうことが多い。本田圭佑ACミランに移籍する前、事ある毎にリバプールユヴェントスなどから「オファー」が来ていることになっていたが、実際にCSKAモスクワに届いていた具体的なオファーは無かった。

なので、メディアに「オファー」と書かれていたからといって、額面通りに受け取るのは危険である。

 

それに加えて、たいていの選手や監督は、こういった煩雑な業務を代理人に任せていることが多い。その代理人の売名行為に「代表監督のオファー」が利用されている事もあるらしい。


「日本代表断り」組は代理人の売名行為か : サッカー : スポーツ報知

ただ、普通に考えてプランデッリマッツァーリといった、トップクラスの監督たちの代理人が、日本代表監督就任を断ることを表明することで売名につながるとはあまり思えないので、これは「引く手数多であることを匂わせて、次の仕事を早めに確実に決めてしまおう」という意図があると考えるほうが合理的だろう。つまり、「ウチのクライアントは早くしないと次の職場が決まっちゃいますよ?」と、監督候補にリストアップしている相手を急かす、あるいは、年俸の上澄みを狙うという作戦だと考えるほうが自然だ。

 

「推し」代表監督候補

それと、スポーツ新聞によっては、「ウチはこの人を代表監督候補に決め打ちする」という姿勢があるのも事実だ。

例えば、スポニチはミカエル・ラウドルップを最有力候補に「推して」いる。


正式オファーへ!ラウドルップ氏 日本代表監督就任に“前向き” ― スポニチ Sponichi Annex サッカー

産経は最近、大穴のハリルホジッチ推しにしつつあるようだ。


【サッカー日本代表】60代監督でもOK! 待ったなしの日本協会、アギーレ氏後任で年齢制限を撤廃(1/3ページ) - 産経ニュース

 

かつて2010年W杯後、殆どのメディアがアルベルト・ザッケローニの就任が確実と伝えていた時に、日刊スポーツだけは最後までホセ・ペケルマンが後任であると報じ続けた。ザッケローニ就任発表当日の報道でも、日刊だけはペケルマンに決定したと大々的に伝えていた。


ペケルマンがサッカー日本代表監督 - サッカー日本代表ニュース : nikkansports.com

ザッケローニの就任が発表された後も、訂正するどころか半分開き直ったようなコメントをTwitterに投稿していた。

デスクの方針とか色いろあるんだろうけど、仮にもメディアを名乗るのであれば訂正記事くらい出すべきだったんじゃなかろうか。それとも、スポーツ「新聞」は名ばかりで、実際にはゴシップ紙のようなものなので、そういうものは必要ないと思っているのかもしれない。実際、日本に純粋な「スポーツ紙」と呼べるようなものは殆どないと言ってもいいし。

とにかく、執拗に一人に絞って動向を追いかけすぎている報道姿勢のメディアは、あまり信用しないほうがいいかもしれない。

 

それでもアジアは遠い

交通機関が発達し、世界は狭くなったとはいえ、サッカーの中心地である欧州からすれば、アジアはやはり遠い。欧州サッカーの情報は日本につぶさに入ってくるが、日本の情報が欧州に伝わるのはそう簡単なことではないのだ。

それに、たとえば若くて勢いのある監督や、ビッグクラブでバリバリ結果を出しまくっている監督というものは、そうそう自国以外の代表監督にはなりたがらない。最近の大物代表監督は、かつてビッグクラブを指揮していたが、今ではそういうクラブから声がかからなくなった人物が多いのだ。たとえば、ユルゲン・クロップが(自国であるドイツ以外の)代表監督を務めるとすれば、少なくともあと10年は後の事になると思う。

となると、現在フリーだからといっても、余程高額のオファーでなければ、プランデッリマッツァーリなどはアジアの国の代表監督を務めるということは無いだろうということがわかる。カマーチョが中国代表監督に就任した時は、年俸が8億とも10億とも言われていた。本気で世界トップクラスの監督を東アジアに連れてきたいのなら、そのくらい払わないと駄目なのだ。

 

果報は寝て待て

というわけで、次期代表監督が誰になるかは、発表されてみないとわからないというのが実際のところである。

実績やネームバリューなどを全く排除すると、とにかく今すぐ就任してくれそうなのはドラガン・ストイコビッチくらいしかいないだけに難しい問題だが、正直言って3月の国際試合までに絶対に決めなければならないわけでもないし、多くの監督がフリーになる夏まで待ってもいいかもしれない。

6月にはアジア二次予選が始まるが、正直二次予選くらいは監督が誰になったとしても、たとえ直前に決まったとしても、1位抜けしてもらわなければ困るのだ。

 

というわけで、メデイアで「決定的!」だの「極秘来日!」だの伝えられても、JFAの就任発表がされるまではのんびり待とうと思う。