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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

アギーレ監督の後任の日本代表監督を、日本人監督の中から選んでみるテスト。

Jリーグ 日本代表 サッカー W杯
日本代表監督は日本人がふさわしい?

フットボールチャンネルに、こんなコラムがアップされていた。

あまりに情けない“外国人頼み”。次期監督をめぐる主体性なき報道。アギーレ後任を絶対に日本人にすべき理由 | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!

 

曰く、なぜ日本人監督が日本代表の後任候補に挙がらないのか、である。コラムの筆者は宮崎隆司氏。プロフィールを見ると、どうやらフィレンツェ在住らしい。

コラムの内容をかいつまんで説明すると

  • 日本代表なのだから日本人が率いるのは当たり前
  • これまでの外国人監督の国籍はバラバラ。一貫性なし。
  • Jリーグ発足から20年も経って、代表監督の適任者がいないのでは、あと何年待てばいいのか。
  • 忘れてはならないのは、過去5度のW杯で最もベスト8に近づいたのは他でもない、日本人監督率いる代表であったという事実。
  • 誰なら日本を強くしてくれる?という外国人頼みは他力本願。プライドはないのか。
  • 自分たちの代表を自分らの力で強くするという気概なくして一体どうやって強くなるというのか
  • 過去のW杯優勝国は例外なく自国の監督で優勝している。

といったところだろうか。

正直言って、かなり突っ込みどころの多い記事なのだが、いちいち揚げ足を取っていたのでは意味が無いし、生産的ではない。逆に、この記事の通りにしたらどうなるかを思考実験してみたほうが面白いとおもったので、やってみよう。

 

日本代表監督選考基準

それでは、仮に日本代表監督の後任を日本人の中から選ぶと限定した上で、選定作業をシミュレーションしてみようと思う。今回のシミュレーションでは、対象を日本人監督に限定するため、日本サッカー協会(以下JFA)があらかじめ挙げていた、国際経験の豊富さであるとか、日本人への理解などの幾つかの条件は、一旦白紙にするものとする。

 

それでは、日本人の代表監督に求められる条件を上げてみよう。

  1. 国際的、あるいは国内メジャータイトルを取った経験があること。
  2. 長期的な強化に成功し、上位を維持するチームを作り上げていること。
  3. 監督業を引退していないこと。
  4. できれば、あまりお歳を召していないこと。

まだまだ細かい条件はあるが、概ねこんなところだろう。「W杯での実績があること」などを条件にしてしまうと、日本人監督でW杯指揮経験があるのは岡田監督だけという事で、自動的に岡田監督に決まってしまうので、それはナシとする。ちなみに、岡田監督はもう日本代表監督をやることはないらしいので選外とする。

てなわけで、この条件に照らし合わせると、必然的に人選は絞られてくる。

 

西野朗監督

まず、まっさきに思い浮かぶのが、現在名古屋グランパスの監督を務める西野朗監督だ。

前園や中田のいた1996年アトランタ五輪U-23代表を率い、優勝候補筆頭と言われたU-23ブラジル代表を破る「マイアミの奇跡」を起こした(が、グループリーグ敗退。勝ち点6を取りながら敗退したのは日本が始めてである)。

その後、1999年に柏レイソルナビスコカップ優勝(自分はたまたま観戦していた)。2002年にガンバ大阪の監督に就任してからは、それぞれJリーグナビスコカップ天皇杯、さらにはアジアチャンピオンズリーグのタイトルをもチームにもたらした。その後、世紀の謎人事「呂比須&セホーン体制」に移行したガンバを離れ、ヴィッセル神戸を経て、名古屋グランパスの監督に就任した。

経歴だけを見ると文句のつけようがない人物ではあるが、西野監督の特徴として、チーム作りに時間がかかることがあげられる。

たとえば柏レイソル時代は、監督に就任してからリーグ戦で優勝を争えるようになるまで3シーズンを要している。ガンバ時代もリーグ優勝するまでは4年。逆に、ヴィッセル神戸時代は、我慢の出来ないフロントの元で働いていたせいで、わずか半年の短命政権に終わっている。その後、旧知の仲だった久米 一正GMに請われて名古屋グランパスの監督に就任したが、今シーズンは10位となんとも微妙な順位に終わっている。

 

森保一監督

次に思い浮かぶのは、現サンフレッチェ広島監督の森保一監督だ。

現役時代はオフト監督のもと日本代表で活躍、ドーハの悲劇を経験した。その後の加茂監督時代は山口素弘の台頭により、代表では控えに甘んじてしまったが、「ボランチ」という言葉を日本に広めた立役者の一人である。

2012年に、ミハイロ・ペトロビッチ監督の後を受けてサンフレッチェ広島の監督に就任すると、前任者があまり手を付けなかった守備の強化に成功し、いきなりリーグ優勝を勝ち取ってみせた。そして、開催国枠でクラブW杯にも出場している。

翌2013年は、ACLに出場したものの、割り切ったターンオーバーをした結果、あっさりとグループリーグ敗退。だが、Jリーグは最終節で横浜Fマリノスを勝ち点で逆転して二連覇を成し遂げた。

2014年は、GKの西川が浦和レッズに移籍(浦和への移籍は毎年のことであるが)してしまい、失点が増加。リーグ戦は8位に終わり、ACLではグループリーグ突破はしたものの、ウェスタン・シドニーに敗れベスト16。天皇杯ナビスコカップも逃し、無冠となった。

森保監督の場合、ペトロビッチが作ったベースがあってこそというイメージが強いため、一から自分の思い描いたチームを作らせたらどうなるかというのが未知数という点が、不確定要素としてあげられる。

 

長谷川健太監督

ガンバ大阪監督を務めている長谷川健太監督も、勿論候補の一人だ。

現役時代は清水三羽烏として名を馳せ、日産自動車サッカー部では黄金時代を支えた選手の一人となる。その後、Jリーグ発足とともに生まれた地元のチーム、清水エスパルスに入団。ナビスコカップJリーグセカンドステージ優勝(自分はたまたま観戦していた)に貢献し、現役を引退した。

その後、2005年に清水エスパルスの監督に就任し、1年目こそ残留争いに巻き込まれてしまうものの、翌2006シーズンは4位と躍進。しかし、清水時代はこの4位が最高成績であった。

2013年にまさかの降格を喫したガンバ大阪の監督に就任。序盤こそJ2の水に慣れるまで時間がかかってしまったが、最終的にはJ2優勝を手土産にJ1に復帰させる。

そして翌2014シーズン。W杯による中断期間までは16位と下位をさまよっていたが、中断期間があけると快進撃が続き、浦和レッズとのデッドヒートを制して、2011年の柏レイソル以来となるJ1昇格即優勝を成し遂げた。さらには、ナビスコカップ天皇杯も優勝し、2000年の鹿島アントラーズ以来の「国内三冠」を達成する。

いま日本人監督で一番勢いのあるのが長谷川健太監督だろう。特に、現役時代の豪快なプレースタイルからは想像できない守備の堅牢さは、今の日本代表に最も必要なものだといえる。

若手起用にも積極的だが、やはりチームの中心は遠藤だ。だが、いずれ日本代表は遠藤抜きでチームを作っていかなければならない。そうなった時に、どういったチームを作れるかは、今後のガンバを見てみないとわからないというのが実際のところだ。

ちなみに、ガンバは伝統的に外国人の質にその強さが比例する。昨年はパトリックという当たりを引くことが出来たため宇佐美も輝いたが、日本代表ではその手は使えない。そういった点をどういう風にカバーするかというのも課題となるだろう。

 

日本人監督登用は現実的なのか?

というわけで、日本人のうち代表監督の資質を備えた人物を挙げてみたが、当たり前の事ながら、三者三様である。実績で言えば西野朗監督か長谷川健太監督ということになるだろうが、「旬な」監督を選ぶということであれば、長谷川健太監督一択である。

 

だが、問題はこの時期だ。

日本代表以外に興味のない人にとっては、なんとも思わないのかもしれないが、今はJリーグのシーズン開幕直前の大事な時期なのである。

3月7日にJ1の開幕を控えたこの時期に、監督を引き抜かれるという事が何を意味するかは、いまさら言うまでもないだろう。チームにしてみれば、キャンプの成果も台無しだし、監督の意向を聞きながら補強を行ってきたのであれば、それも無意味なものになってしまうかもしれない。いわば、当該チームの2015年のシーズンを、開幕前にしてぶち壊しにしてしまうのと同じなのだ。

Jクラブの一つをここまでカオスな状態に追い込んで、日本代表の監督を日本人から選ぶメリットとはなんだろう?日本代表さえ良ければ、Jリーグなどどうなってもいいということなのだろうか?

「そうだ」というのならぐうの音も出ないが、すくなくとも現時点で日本人を代表監督にするのは現実的ではない。というより、無理なのだ。だからJFAJリーグからの引き抜きはしないと最初に断りを入れたのだ。

 

プロの仕事に望むこと

冒頭のコラムが、素人の書いたブログだというのならどうということはないのだが、お金をもらって文章を書いているプロならば、もう少し建設的なコラムを書くべきではないだろうか。

このコラムを読んでも、いまいち「次期日本代表監督を是が非でも日本人にしなければならない理由」がよくわからないし、特に問題なのは、「じゃあ、誰を監督にするべきか」という解答からは筆者が逃げている点だ。これは姑息と言っても過言ではないだろう。

一国の代表を率いる監督とは、W杯の試合開始前、あの極限の緊張の中で、選手達と共に国歌を力強く斉唱できる者でなければならないと私は思う。

ここまで言うのであれば、その「国歌を力強く斉唱できる者」の名前を挙げるべきだと思うのはおかしなことだろうか?それは一体誰のことをイメージして書いているのだろうか。自分は是非知りたい。

すくなくとも、このコラムを書くのであれば、今ではなくW杯終了直後、アギーレに日本代表が託される前に書くべきだった。

 

フットボールチャンネルも、わざわざ「サッカー」ではなく「フットボール」と、名前にこだわったサイトなのだから、コラムもブログに毛の生えたようなものではなく、じっくり読ませるようなクオリティを望みたい。

これまでにない、フットボールの奥深き世界に導くことをお約束します。ゆっくりと、じっくりと楽しんで頂ければ幸いです。 

という、サイトの説明文に恥じない記事をアップしてくれることを願う。