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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

レトロゲーム回顧録その10 Jリーグエキサイトステージシリーズ。

シーズン前の風物詩、富士ゼロックススーパーカップも終わり、2015年のJリーグがいよいよ始まる。

J1は今シーズンから再び2ステージ制に戻る。なにかと不安要素のつきまとう「改革」ではあるが、もう決まってしまったことは覆せない。Jリーグ設立当初のように、「走りながら考える」しかない状況なのだろう。

というわけで、今回は93年のJリーグ開幕時あたりに出た、思い出に残るサッカーゲームを振り返ってみようと思う。

1993年5月15日、ヴェルディ川崎と横浜マリノスの、当時としては「黄金カード」でJリーグが開幕した。NHKで放送されたこの試合の平均視聴率は32.4%。今からすると信じられないような数字だ。この開幕をきっかけに、日本に「Jリーグブーム」が訪れた。ちなみに、この年の流行語大賞は「Jリーグ」である。日本がどれだけJリーグブームに湧いていたかがよく分かる。

ゲーム業界でも当然そのブームに乗るべく、本当に沢山の「Jリーグゲーム」がリリースされた。実際の選手が監修した(とされている)ゲームもいくつかリリースされたが、その後シリーズ化されてないことを考えると、それほど人気はなかったのだろう。

他にもナムコの「Jリーグサッカープライムゴール」

ハドソンの「Jリーグスーパーサッカー」

などなど、枚挙にいとまがないが、個人的にこの時期のサッカーゲームの最高傑作だと思っているのが、エポック社が発売した「Jリーグエキサイトステージシリーズ(以下エキサイトステージ)」だ。

Jリーグエキサイトステージ94

Jリーグエキサイトステージ94

 

 

エキサイトステージは、ヒューマンで「フォーメーションサッカー」を作っていた天野亮司氏(通称アマーニョ)らを中心とした、エーマックスというソフトハウスで開発された。

このエキサイトステージと、この時期に発売されていたJリーグを題材とした凡百のゲームとの違いは幾つもある。

まずは、当時としては自然なボールの挙動だ。ちゃんと放物線を描いてボールが飛んで行く。そんなの当たり前じゃないかと思うかもしれないが、当時のゲームはこういう計算がルーズなものが多かった。たとえば、コナミの「実況ワールドサッカー」の動画を見てもらえば、ボールの動きが直線的であることにすぐ気がつく。

次に、フォーメーションの自由度が非常に高かった。縦7マス✕横10マスの好きな所に選手を配置できる。当時、4-4-2や3-5-2などの固定フォーメーションから選べるゲームはあったが、ここまで自由度の高いフォーメーションを組めるゲームは他にはなかった。やろうと思えば5トップも6バックも自由自在なのだ。

更に、選手に細かく設定されたパラメータが選手の個性を表現していた。真偽の程は定かではないが、DFには隠しパラメータとして「プレッシャー値」が設定されており、相手FWがシュートするときにプレッシャー値が高いDFが間合いを詰めると、シュートコースがズレたりするという話すらあった。

さらに、操作性も抜群で、コントローラの全てのボタンを使う代わりに、慣れれば自由自在にパスやシュートを放つことが出来た。ドリブルでのスキルはそれほど用意されていなかったので、その辺りの爽快感はないが、パスサッカーを好む人にとっては最高のゲームであるといえる。

このゲームの白眉な点は、LボタンとRボタンで殆どのボールにカーブをかけられる点にある。これがあることによって、相手DFの間を通すピンポイントスルーパスを狙ったり、自陣ゴール前でボールを奪ってすぐに前線のFWに向かって、コントロールされたロングボールを出すことが出来るのだ。

さらに、Yボタンは一番近くの味方に自動的にパスを出すサーチパスボタンになっているのだが、この際に受ける側がYボタンを押しっぱなしにしていると、浮き球の壁パスを出すことができ、さらにそのボールにも若干ではあるがカーブをかけることが出来る。このYボタンを使ったテクニックは応用性が幅広く、ルーズボールに触れるときにYボタンを押しっぱなしにしていても、浮き球のパスを放つことができる。とまあ、こんなテクニックによって、狭い曲面を打開することを可能にしているのだ。

ただ、仕方の無いことではあるが、 パターンシュート的なものもいくつかあって、特定の場所から打つと、かなりの高確率でゴールに入ってしまうシュートも存在する。友達と対戦する時は、そういうシュートは禁じ手として封印していたが、それで攻撃パターンが制限されてつまらなくなることは全くなかった。逆に、一瞬のひらめきでスーパーなゴールが決まることがあり、そんなゴールが生まれた時はまるで本当のサッカーでゴールを決めた時のような爽快感があった。

その後、エキサイトステージシリーズは、結局96年のリリースをもって実質的にシリーズを終了した。そして、アマーニョ率いるエーマックスは、ニンテンドウ64に舞台を移し「ダイナマイトサッカー」というゲームを出す。

まるでエキサイトステージをポリゴンで再現したかのようなゲームで、3Dスティックによるボールキープやコースを狙ったシュートなど、かなりテクニカルな内容で面白かったのだが、残念ながらあまり売れなかった。
その後、シリーズは「ダイナマイトサッカー2004ファイナル」までリリースされる。

Dynamite Soccer 2004 Final ダイナマイトサッカー2004ファイナル Ps1 - YouTube

だが、その頃にはウイニングイレブンシリーズが確固たる地位を築いていたので、ダイナマイトサッカーの後継シリーズは途絶えてしまった。開発会社であるエーマックスはどうなったのだろうか。

現在のサッカーゲームは、実写と見紛うばかりのリアルさを手に入れた。

だが、エキサイトステージで感じた「選手を自由自在に動かせている実感」は、もう味わえない。あの感覚が「リアル」では無かったのは事実だ。それはわかっている。

それでも、あの時モニタの中にあったピッチには、確かにあったのだ。フォトリアルなだけではない、別の「リアルな何か」が。