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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

Jリーグのメディア戦略は上手くいっているのか?

わかりにくい2015シーズンのJリーグ

2015シーズンのJリーグが始まろうとしている。

今シーズンは、創設以来初めて冠スポンサーがつき、正式には「明治安田生命Jリーグ」となった。イングランドプレミアリーグが「バークレイズ・プレミアリーグ」などと言われるのと同じ理屈だ。

そして、いまだ賛否両論ではあるが、J1では2ステージ制とチャンピオンシップが復活することになった。といっても、チャンピオンシップは以前のようなわかりやすいものではなく、いわゆるポストシーズンプレーオフに変更になった。

レギュレーションに関して、公式サイトの表記をそのまま引用しても、はっきり言ってわかりにくいし、文章だと何が何だかわからなくなってしまうので、自作の画像を使用して説明しよう。

f:id:potatostudio:20150303183928p:plain

おわかりいただけただろうか?

ステージ優勝と年間勝ち点の関係で試合があったりなかったりする、まことに珍妙なレギュレーションなのである。

 

複雑になってしまった理由は?

なぜこんなに複雑になってしまったのかというと、以前のチャンピオンシップのような「完全優勝」するチームが現れて、チャンピオンシップ自体の開催がなくなる…というケースを防ぐことが目的だからだ。最低でも年間勝ち点2位と3位同士の準決勝と年間優勝決定戦だけは開催できるようにしてある。

これは今シーズンのJリーグが、チャンピオンシップありきで考えられているためだ。もうテレビ放映は決定しているので、是が非でもチャンピオンシップは開催する必要がある。なので、こんなわかりにくい方式にしてまで、年間優勝決定戦をひねり出しているわけだ。

 

Jリーグ側は2ステージ制を導入するにあたって、色々な理由を並べ立てている。


【キーマン・中西大介氏インタビュー】混迷のJリーグ改革案。2ステージ制から1ステージ制へ戻す可能性はあるのか? | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!

曰く

  • 欧州へのマネーの一極集中
  • 日本人選手の欧州への流出
  • 一般層の関心の低下

これらを打開するための最初の一手がJリーグの2ステージ制移行なのだという。「優勝チーム」が生まれる機会を増やし、一発勝負の優勝決定戦を作り出すことにより、普段Jリーグに興味のない人たちに関心を持ってもらおうというわけだ。

何度いろんなサイトでのJリーグ側の言い分を聞いてみても、どうしてもそんなに簡単に「Jリーグに興味のない層」が、チャンピオンシップ程度で振り向いてくれるとは思えないのだが、とにかくJリーグ側の主張はそういうことになっている。

 

2ステージ制を導入する本当の理由

だが、実際問題いちばん大きいのは「お金」の問題なのだ。

詳しくは、川崎フロンターレの2013年の9月の「お知らせ」に書いてある。なんでJリーグの公式サイトがこれを出さないのかと言いたいところだが、下記に引用しよう。


お知らせ:KAWASAKI FRONTALE:「J1リーグ大会方式の変更について」の説明会(報告)

 

それから放映権料とかJリーグのスポンサーや協賛金。これは実は今年2013年度で契約が切れるんですね。来年2014年から新しい契約を結ばないといけない。その時に今現在の交渉で何と言われているかと言うと、2つ合わせて10数億のダウンが見込まれているんですね。

(中略)

ポストシーズン制をとるということを実行に移すための要件としては、私が考えていることですが、なぜこういうことをやるのかということについて、世の中の人々に広く理解してもらう必要があると思っています。これについては、Jリーグとして、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等々にかなり告知を行ったつもりです。ただ、現在振り返ってみるとまだまだ十分とは言えないなというのが実感です。これからもこれを続けていかなければいけないなというふうに思います。

それから、収入拡大の目途がついたのかということ。これは私たちがやっているわけではなくて、Jリーグがいろんなところと交渉しているが、Jリーグの人たちの感触としては増えるという感触を得ているということ。これを信じていこうではないかということです。

というわけで、一部スポンサーが降りるのに合わせて協賛金がダウンするため、チャンピオンシップを開催して、その放映権料で補填しようというのが実際のところなのだ。

今回の2ステージ制移行は、競技力の向上や、アジアで勝てるチームを育てるなどどいう、それまでJリーグが重視してきたこととは全く関係のないところで決定されている。他ならぬJリーグ側も、理想の形は1ステージ制で普通に優勝チームが決まる形であると認めているのだ。


[緊急インタビュー]Jリーグ、2ステージ制導入の真意を問う 中西大介(Jリーグ競技・事業本部長インタビュー) | サッカーキング

該当部分を引用する。

中西大介 もちろん1リーグ制(筆者注:1ステージ制の間違いだと思われる)が理想であることは、JリーグもJクラブも共通認識として持っています。ただ、先ほどから申し上げているように、Jリーグ全体が更なる成長を遂げるために、新しい取り組みを導入することが必要であると考えました。

いままで散々「世界基準」と喧伝してきたのにも関わらず、それに逆行することをやろうとしているJリーグ。しかも、ビジネス面での問題が最大の理由であるにも関わらず、そうではない様々な理由を引っ張り出して、ある種「誤魔化そうとしている」ことがコアなサポーター等から反発されている原因だろう。

 

「サッカー」と「Jリーグ」は別物

正直いえば、2ステージ制で都合3回優勝チームが生まれることによって、スポーツニュースなどで取り上げられる機会は増えるだろう。だが、それで一般の人が「Jリーグを見に行こう」となるかと言われれば、疑問符を付けざるをえない。

JリーグJFL、そして日本代表の試合も観戦した経験から言わせてもらうと、日本代表の試合がいつも満員なのは、多くの日本人が「サッカー」を見たくてスタジアムに行っているわけではなく、日本代表の試合という「お祭り」に参加したくて見に行っているからだ。客層が明らかに違うのである。

同じようにテレビの前で見ている数千万人の人々の大部分もそうなのだろう。実際、自分の知っている範囲だけでも、普段サッカーのさの字も言わない人が、ワールドカップ予選などの試合があるとスポーツバーに観戦に行くという事が起きているのだ。渋谷のスクランブル交差点で、たとえ日本が負けてもハイタッチする連中が、普段からJクラブを応援しているとはとても思えない。

だれでも最初はミーハーである。だが、そこから「サッカー」自体を熱心に見てくれるような「ファン」、そしてゆくゆくは「サポーター」に育て上げていくのには、クラブの努力も必要だが、Jリーグ自体の施策も重要になってくる。「週末にJリーグを見に行きたくなるような情報」を、Jリーグ全体がもっと積極的に発信しなければならないはずなのだ。

 

Jリーグの発信した情報は正しく伝わっているのか?

下記は、3月3日付で配信されたスポーツ報知の記事で、Yahooニュースにも載っていたので、結構な数の人の目に触れたと思われる。


【J新時代】(1)2ステージ制で下位チームにVチャンス : サッカー : スポーツ報知

スポーツ新聞の記事なので、かなり端折られているのは傍目にも明らかだが、それにしてもこの見出しはあんまりなのではないか。Jリーグも、こんな「最後の問題に正解すればポイントがなんと2倍!大逆転のチャンスです」的な発想で2ステージ制にしたわけでもあるまい。

確かに記事中で「タイトルを獲得したことのないチームが優勝すれば盛り上がる」とは言っているが、以下の引用の中西氏の発言以外の部分は、取材した記者の主張であって、中西氏が直接しゃべったわけではないのではないか。

93~95年、97~04年以来となる2ステージ制の魅力は、予想外のクラブが優勝する可能性があるスリリングさと、1リーグ制の終盤に見られた消化試合が少なくなる点だ。「タイトルを獲得したことのないチームが優勝すれば盛り上がる」。リーグ終了後に行われるチャンピンシップは、負けられない戦いの連続で、独特の緊張感と高揚感を味わうことができる。

そもそも2ステージ制が無くなった大きな要因の一つとして、年間で最も強かったチームが王者になれないという不条理な結果に終わったシーズンがあったから、世界基準に合わせて1ステージ制に移行したはずなのだ。

それなのに、この記事の「2ステージ制の魅力」とやらの伝え方は余りに酷いと思う。というより、このインタビューで中西氏が伝えたかったことが、スポーツ報知の記者にちゃんと伝わったのかどうか心配になる。

メディア相手ですらこの有り様なのに、一般の「普段Jリーグを見ない人」に、本当にJリーグの魅力を再認識してもらえるのだろうか?

 

現代のメディア戦略は「マスメディア向け」だけでは駄目である

YouTubeプレミアリーグブンデスリーガのチャンネルを登録しておくと、注目の試合の舞台裏のドキュメントや、ダービーマッチにおける過去の対戦成績をまとめたものなど、本当に多彩なコンテンツが作られ、配信されている事に驚く。

翻ってJリーグはというと、インタビュー、試合ハイライト、そしてたまに何かのバラエティー的な企画…と、正直言ってあまり面白くない。普通すぎるのだ。

これだけインターネットが普及して、各個人がオンデマンドで情報の取捨選択をするようなった時代、もはやメディア戦略は「テレビで報道してもらうこと」だけではないのだ。ちなみに、Jリーグが公式ツイッターアカウントを解説したのは昨年の10月である。最近では日本国内だけでなく、東南アジアなどの海外リーグとの提携も盛んなわりに、あまりにも遅すぎるのではなかろうか?

そして、2月からは公式ファンサイトであった「J`sGoal」とJリーグ公式サイトが統合されたのだが、この結果が酷い。というより、まだ全くの未完成状態なのだ。インターネット関連の動きの鈍さには本当に呆れてしまう。


Jリーグ.jp(日本プロサッカーリーグ)

 

Jリーグは勝負の三年間を乗りきれるのか

あくまでウワサであるが、この新しいチャンピオンシップの放映権は三年間だと言われている。つまり、この三年間で「視聴率」あるいは、明らかな誤差以上の「観客動員数の増加」という結果を出さなければならない。はたしてチャンピオンシップの一回戦と決勝の一戦目を平日に開催して、どの程度の客が見に来るのかという、 やる前からどうなの?的な不安はあるが、もう決まってしまったことなのだ。いくらなんでもここからは変えられない。


Jリーグが2015シーズンの日程概要を発表 | ゲキサカ[講談社]

 

今は、いちサッカーファンとして、Jリーグが選択した「改革」とやらが上手くいってくれることを祈ることしか出来ない。

まあ、実のところ自分の応援している地元のチームはJ3だから、わりと蚊帳の外感もある。だが、本丸に倒れられては困るので、この三年間、Jリーグ事務局の方々には死に物狂いで頑張っていただきたい。