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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

レトロゲーム回顧録その12 スーパーマリオブラザーズ

スーパーマリオブラザーズ(以下スーパーマリオ)」を手に入れたのは、発売されてからしばらく経った後だった。正確な時期は覚えていないが、発売から半年は経っていたと思う。なにしろ、凄いブームを巻き起こしていて、なかなか田舎のおもちゃ屋では手に入れられず、自分も友達が飽きたから貸してもらったのだ。

 

数年前、Wiiの「スーパーマリオコレクション」に収録されているファミコン版をプレイしたが、グラフィックス面を除くと、本当にこれが30年も前のゲームなのかと驚かずにはいられない。

スーパーマリオコレクション スペシャルパック

スーパーマリオコレクション スペシャルパック

 

なんといっても素晴らしいのはその操作性だ。十字キーの操作に吸い付くように動くマリオ。Bダッシュは少し慣性が効いていて、加速や急停止する気持ちよさは、同時期に発売されていたゲームとは雲泥の差がある。

 

敵を倒す為の手段も、踏む、甲羅をぶつける、ファイアーボールをぶつける、下から叩くなど、複数用意されており、自由度はとても高い。特に優れたアイデアだと思われるのが「踏みつけ」で、それまでのアクションゲームが、敵に接触しただけで死ぬかダメージを受けるかしていたのに対し、踏むことにより敵を倒せるというのは、わりと画期的だった。

この「踏む」という手段があることで、スーパーマリオは、それまでの敵を弾等で攻撃して倒すのが目的のゲームから、ジャンプアクションを駆使してアスレチックなコースをクリアしていくという、新たなゲーム性を創造できた。敵を倒さなくても、ゴールまで辿り着けばクリアできるという要素は、ゲームの難易度の敷居を下げるとともに、レベルデザイン多様性を産んだのだ。

 

このレベルデザインに関しては、特に最初の1-1はチュートリアルの要素も兼ねていて、とても秀逸である。詳しくは下記のページの任天堂社長の岩田氏と宮本氏の対談に書いてあるのだが、一部を引用すると

社長が訊く『New スーパーマリオブラザーズ Wii』

岩田

そうなんですよね。
まず最初にこのゲームを
事前の知識がない状態ではじめると、
最初に出てくるクリボーに当たってミスをしますよね。

 

宮本

だから、跳んでよけることを
自然に学習するんです。

 

岩田

そこで跳んでよけようとすると、うまくいかなくて、
たまに踏んじゃうことがある。
すると「踏んだらやっつけられるんだ」
ということが自然にわかると。

 

宮本

クリボーは踏んじゃえば怖くない。


ただ、最初のクリボーをよけようとして、
ジャンプをしたら上のブロックに当たってしまう。
すると、キノコがびよよよと出てきて、
ドキッとするんですけど、右のほうに行くので
「あーよかった。怪しいのが出てきたけど大丈夫」だと。
ところが、先にある土管に当たって、
何と戻ってくるんですよね、キノコが(笑)。

宮本

はい(笑)。

 

岩田

そこでパニックになって、跳んでよけようとしても
上のブロックに当たってしまう。
「もうダメだ。やられた!」と覚悟した瞬間に、
ググググッとマリオがでかくなる・・・。
そのとき何が起こったのかわからないんですけど、
少なくともミスはしていないことはわかる。

 

宮本

でも、どうして大きくなったんだろうと。

 

岩田

そこでジャンプをしてみると、
高いところに跳べるし、天井はバンバン壊すし
明らかにパワフルになっているんですよね。

 

宮本

そのとき初めて、
キノコがいいアイテムだと気づくんです。

 

岩田

だから、キノコはどうやっても取れるように

できてるんですね。

 

しかも、ゲーム開始直後、マリオは画面の左端に立っていて右を向いている。あの画面を見た殆どの人が、右へ進めばいいのだとわかるようになっているのだ。


スーパーマリオブラザース(クリア最速タイム?) - YouTube

 

スーパーマリオは、後のアクションゲームのお手本になると同時に、ファミコンの潜在能力を見せつけるゲームでもあった。

Bダッシュでステージを駆け抜ける爽快感は相当なものだが、この「背景画面を高速で書き換えてスクロールさせる(ように見せる)」というテクニックは、当時としては高度な方法だった。なにしろ、当時は固定画面のゲームが非常に多かったし、スクロールするゲームと言っても、そのスピードが遅かったりするものが殆どだった。

一度に32キャラクタしか書き換えられない制限があるファミコンで、これだけの操作性とゲームスピードが両立しているゲームは、この時代には類がないし、数年後のファミコンゲームであっても、スーパーマリオの足元にも及ばない物も多い。

水中面では、妙な慣性がついた動きになり、本当に水中を泳いでいるような感覚になるが、これは「バルーンファイト」のテクノロジーが活かされているらしい。ちなみに、この挙動を開発したのは、前述の「社長が訊く」によれば、現任天堂社長の岩田氏なんだそうだ。

 

隠し要素というか、裏技的なものも、ワープや無限1UPなどの正攻法なものから、仕様上のバグ(256人以上マリオを増やすとゼロに戻る)や、別のゲームで使われている同一のプログラムを利用した際どいもの(「テニス」の歩数の数値を利用してワールド9に行く)など、裏ワザブームだった時代だけに、とても沢山のものが発見されている。中にはウン◯マリオとかキ◯タマリオなど、しょうもないものもあったけど。


スーパーマリオ・裏ワザ - YouTube

 

ところで、1986年にTBSで「親子ゲーム」というドラマが放送されている。主演は長渕剛志穂美悦子。ストーリーをWikipediaから引用すると

元暴走族の青年、保(たもつ)とその恋人の加代(かよ)の営む東京・下町のラーメン屋に、ある日父親と麻理男(マリオ)が店を訪れた。

(中略)
ところが、マリオ少年は、人間不信で人見知りが激しく、ほとんど言葉を発さない上にすぐに大暴れする対人恐怖症を抱えている少年であった。3人で暮らし、ラーメン屋の出前を頼んだりしているうちに保も加代もマリオと打ち解けていくが、このマリオを巡って様々な騒動が巻き起こる…。 

そう、このマリオ少年の名前は、まさにスーパーマリオから取られていて、ドラマ中にもゲームの画面が何度も登場する。しかも、第一話のタイトルは「スーパーマリオになりたい」だ。 

長渕剛スーパーマリオである。今で言えば誰になるのだろうか。北村一輝と猫なみに斜め上の組み合わせではないだろうか。しかも、この「親子ゲーム」は長渕剛志穂美悦子が初共演したドラマで、後にこの二人は結婚するのである。

ドラマの内容は、今の任天堂なら使用許諾を出さないんじゃなかろうか。なんといっても主人公は元暴走族という設定の長渕剛である。設定が設定だけに格闘シーン的なものや喧嘩なんかはしょっちゅう出てくる。ドラマ内でゲームのマリオが使われているということで、子供の頃の自分も見ていたが、なんだか荒っぽいドラマだな〜と思っていたものだ。

一応ホームドラマということでホロリとするようなシーンも有るにはあるが、ありていにいえばヤンキードラマなのだ。当時は今とはゲームの社会的地位が違うとはいえ、よく任天堂がこのコラボを決断したものだと不思議に思う。一体全体、どういう経緯だったんだろうか。

 

ちなみに、スーパーマリオには個人的に少し悲しい思い出がある。

友達から借りたスーパーマリオのソフトだが、自分も散々やり尽くしたので、別のヒロちゃんという友だちに又貸しすることになった。 ヒロちゃんは小学校低学年からの一番の友だちで、短期間でいいからどうしても貸して欲しいと言われて断るわけにもいかなかった。

ところがある日、そのヒロちゃんの家に空き巣が入ってしまう。そして、その又貸ししたスーパーマリオのソフトも盗まれてしまったのだ。後日、ヒロちゃんとそのお母さんが「本当に申し訳ありません」といって、新品のソフトを弁償してくれたのだが、なんだかとっても悪いことをした気がしてしまった。

そして、それからしばらくして、ヒロちゃんが突然どこか別の町に引越してしまったのだ。空き巣事件以来、ちょっと関係がギクシャクしていた事もあって、少し疎遠になりつつあったのだが、あまりにも突然の出来事だったのでお別れすら言えなかった。勿論、この事件が関係しているというわけではないのだが、子供の頃の自分には、どうしても切り離して考えることが出来なかったのだ。

その後、その新品のソフトを元々の持ち主に返したのだが、ウチにはヒロちゃんのお母さんが買ってきたソフトの箱だけが残っていた。それを見るたびに、あの時又貸ししなければよかったと子供心に後悔したものだ。

スーパーマリオを返してちょっとした頃、なんとかお小遣いを溜めて晴れて自分のスーパーマリオを手に入れたわけだが、このゲームを遊ぶとどうしてもヒロちゃんを思い出してしまうのである。

今頃彼はどこで何をしているんだろうか。