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レトロゲーム回顧録その16 ヘクター87

80年代後半にすっかり夏の恒例行事になった、ハドソンによる全国キャラバン。その1987年の公式ソフトだったのが、「ヘクター87」だ。

ヘクター87

ヘクター87

 

 


FC へクター'87 全面クリア (NES HECTOR'87 ALL CLEAR) - YouTube

ステージ構成は、普通の面クリア型シューティングと同じで、ステージの最後にボスが待ち構えているスタイルなのだが、奇数面は縦スクロール、偶数面は横スクロールと、前年にコナミからアーケードでリリースされた、「沙羅曼蛇」のような面構成になっている。

 

ハドソンシューティングゲームは、スターソルジャーまでは、とにかく空中物も地上物も一緒くたにして撃ちまくり、破壊しまくる爽快感を売りにしていたのだが、このヘクター87ではゲーム性が大きく変更され、空中の敵と地上の敵の攻撃手段が分離された。ただし、横スクロール面に関しては、地上を攻撃するショットでも空中の敵を攻撃できる。要は、縦スクロール面はゼビウス、横スクロール面はグラディウスのようなゲームになっているのだ。

 

個人的に、ファミコン時代のハドソンシューティングの最高傑作はスターソルジャーだと思っているので、自分の中ではこのヘクター87の評価は若干低い。それはやはり、ヘクター87が、それまでのハドソンシューティングの爽快感を犠牲にして、少し戦略的にしすぎたからだと思う。

 

スターフォーススターソルジャーの大きな特徴として、敵の出現頻度を自分である程度コントロールできるという点があった。つまり、敵の編隊を倒さず、ある程度画面に残しておく時間を長くすることで、任意の場所で自分の好きな敵(主にボーナスキャラや無敵系の敵)を出すことが可能だったのだ。これは、ハイスコアを出すためにはとても重要なテクニックである。だが、別にこんなことを意識しなくても、バリバリ打ちまくっているだけでも楽しい爽快感があった。

しかし、ヘクター87では高得点ボーナスキャラが出てこないため、ハイスコアを出すためには敵の出現位置を覚え、ボーナスパネルの場所を記憶し、なるべく同じ動きが出来るように体に覚えさせなければならない。 

 

自機であるノア号は、ハドソンシューティングにしては珍しくライフ制だが、移動スピードが遅く、さらに見た目も当たり判定も大きいため、敵の体当たりや弾に当たりやすくなってしまっている。

おまけに、ノア号は一切パワーアップせず、敵のアルゴリズムが非常にいやらしい上に、ライフ満タンの状態でも一撃死する敵が存在するため、非常に難易度が高い。一言で言ってしまうと、パターン覚えゲーになっていたのだ。

しかも、どういうわけか途中で死んでも復活ポイントのようなものがなく、ステージの最初からやり直しになる。どうしてこういう仕様にしたのかはよくわからないが、死んで覚えろ系のゲームなのに、ユーザーにやたら苦行を強いるゲームデザインであるといえるだろう。

 

正直いって、小学生時代の自分では、このゲームをクリアすることは出来なかった。やたら固い敵が多く、連射パッドを持っていてもかなりの苦戦を強いられる。

地上に隠されたギミックには、ボーナスパネルの他に「配電盤」というものがあり、それを破壊すると、地上の砲台をいっぺんに誘爆させることが出来るのだが、敵がそれを阻むような動きをしてくるので、アドリブでやっていたのでは逆にダメージを受けてしまう。

なんか角をプルプルさせる謎のオブジェクト(横スクロール面では謎のパイプ)に弾を撃ち込むと、ライフを回復させるカプセルが出現し、ライフがフルの状態でカプセルを回収すると得点になる。ハイスコアを狙うにはこのようにかせぐのだと言わんばかりに、こういうテクニックをチマチマ積み重ねていかなければならないのだが、子供心になんか地味に感じたものだ。

 

キャラバン公式ソフトとしては、初めて2分間モードと5分間モードという、キャラバンの練習のためのモードが用意されたのは画期的だったが、ハイスコアを競うのがキモのゲームでありながら、そのスコアを稼ぐための手段が地味で、ストイックに突き詰めていかないと、スコアどころかステージクリアすらままならない。

思うに、ヘクター87は当時のアーケードゲームの影響を受けすぎてしまったのではないだろうか。80年代後半から90年代にかけて、アーケードのSTGはいわゆる「死に覚えゲー」全盛期だった。大きな当たり判定、プレイヤーを殺す気満々の敵のアルゴリズム、そして「そんなのわかるか」と言いたくなるような行き止まりや一発死のトラップ。ヘクター87にも、そういうゲームたちの影響が見て取れるのだ。

今にして思えば、そこまで酷いゲームではなかったかもしれない。復活ポイントが設定されていない事を除けば、結構今でも遊べるゲームだという話もよく聞く。

BGMもなかなかかっこよく、1面の曲などはPCエンジンの「スーパースターソルジャー」の2分間モードでも再利用されているほどだ。


【スコアアタック】 スーパースターソルジャー 2分間モード 542900点 - YouTube

だが、やはりスコアアタックを目的とする、キャラバンの公式ソフトには向いていなかったような気もするし、ハドソン自身がファミコンの表現力に限界を感じていたのかもしれない。

 

実際、この1987年にはハドソンNECをそそのかしと協業し、PCエンジンを開発、発売する。結果的にファミコンの2000万台弱という国内出荷台数には遠く及ばなかったが、セガメガドライブを抑え400万台弱のシェアを獲得し、日本国内においては一定規模の市場を作ることには成功した。

 

ちなみに、ヘクター87の翌年の1988年のキャラバン公式ソフトは、なぜか野球ゲームの「パワーリーグ」だったが、その次の89年からはまたシューティングゲームガンヘッド」が公式ソフトになる。

そして、その翌年の1990年、ハドソンは「スーパースターソルジャー」という大傑作を世に送り出す事になるのだ。