Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

ある「冒険家」の死に思うこと。

世界的冒険家ディーン・ポッターの死。

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上記のナショジオの記事によれば、世界的冒険家であり、トップクライマーのディーン・ポッター氏が亡くなったそうだ。

といっても、自分はこの記事を読むまで、ディーン・ポッターという人物を知らなかった。

「墜落死」というから、てっきり飛行機事故か何かなのかと思っていたら、「ウイングスーツ」という特殊なスーツを着て、ヨセミテ国立公園の崖から降下したときに、壁に激突して死亡したということらしい。

「ウイングスーツ」というのは、映画やゲームなんかによく出てくる、手足にムササビのような膜の付いたスーツのことだ。

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冒頭のナショジオの記事からそのまま引用すると…

ウイングスーツベースの歴史はまだ10年余りと浅く、地上で最も危険なスポーツと言われている。例えば、2008年のある統計によると、建物、アンテナ、橋、崖などの固定物からパラシュートを着けて飛び降りる普通のベースジャンプだけでも、60人に1人が命を落としている。

ウイングスーツベースはそれよりもはるかに危険とされている。ウイングスーツとは、腕と足の間に帆布を張ったムササビのような全身スーツのことで、これを着用して行うベースジャンプは高度な飛行操作能力が要求される。時には、建造物や岩肌のすぐそばを時速160キロ以上の猛スピードで下降する。

と、ウイングスーツによるベースジャンプは、極めて危険なスポーツ(?)であるといえるらしい。

 

禁止されていたベースジャンプ。

今回のこの事故での問題点はいくらでもあげられるだろう。だが、個人的にこれは…と思ったのは以下の部分だ。

米国の国立公園では、安全上の理由からいかなるタイプのベースジャンプも禁止されているが、実際のところ、意欲満々のジャンパーたちを取り締まることはほとんどできていないのが現状だ。

そう、今回事故が起きたヨセミテ国立公園も、ベースジャンプは禁止されていたのである。にもかかわらず、ポッター氏はウイングスーツによるベースジャンプを行い、事故を起こして死亡した。

何故、禁止されているのにもかかわらずジャンプを行ってしまったのか。恐らくは、「飛びたかったから」ということなのだろう。

こうした過激なスポーツを取り締まる国立公園の法律に対して、最も強い批判を行っていたのは、恐らくポッターだろう。

「基本的自由の問題なのです」。事故が起きるわずか数日前の5月12日に、筆者のインタビューに応じたポッターはそう語っていた。「環境を破壊しない範囲で自然の中を移動する行為は、取り締まられるべきではありません」

危険極まりないベースジャンプであるが、基本的にあまり許可されている場所は少ない。

アイダホ州にある世界唯一の公式ベースジャンプ・スクール『スネークリバーBASEアカデミー』のオーナーであるトム・アイエロ氏は、ベースジャンプの歴史が常に反社会的行為の繰り返しだったと語る。

「米国では、ベースジャンプが発祥からそもそも違法行為でした。私のジャンプ仲間たちも、今ではほとんど止めてしまいましたが、かつては違法な場所で日が暮れてからジャンプしていました。ビルやアンテナの上、それに国立公園へこっそり忍び込んだりしたものです」

ということで、今回のジャンプも、ポッター氏はパートナーと一緒に夕暮れから夜にかけて行ったらしい。しかも、今回のジャンプのルートはまだ新しく、あまり知られてなかったという。

人々の安全を守るはずの連邦法が、正反対の効果をもたらしているという指摘もある。米国の高い崖のほとんどは国立公園内にあり、ベースジャンパーたちは姿を見られないように視界の悪い夜や夕暮れ時にジャンプしがちだ。

と、ナショジオの記事には書いてあるが、かといってジャンプを解禁すれば、ジャンプを行う人が増えて、益々犠牲者が増加してしまうのではないか。イタチごっこである可能性も否定は出来ないが、規制されているからより危険なジャンプを行い、犠牲者が増えるというロジックはなにか違う気がする。

 

死と隣合わせの人生。

ナショジオには、ポッター氏の追悼記事もアップされている。

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命綱なしでの綱渡り、フリークライミング、そして、ウイングベースジャンプと、彼はとにかくスリルと隣合わせの、そして風変わりな人生を送ってきたようだ

どこへ行くにも裸足で歩き、岩を登るときでさえそのスタイルを崩さない。しばしば謎めいた話しぶりで、自分の行うロッククライミング、ハイライニング、ウイングスーツフライングを「アート」と呼んでいた。いつも陰鬱な雰囲気をまとっていることから、「ミーン・ディーン(不機嫌ディーン)」、そしてしまいには「ダーク・ウィザード(闇の魔法使い)」と呼ばれていた。

だが、上記のような記述を見てしまうと、むしろ彼はスリルに取り憑かれていたのではないか。死と隣り合わせの挑戦をし、それを乗り越えることによって、自分が生きていることを実感するような、そんな充実感を感じるようになってしまったのかもしれない。

自分は一介の会社員であり、(全ての冒険家がそうであるとも限らないが)冒険家のそういう命をかけてまで危険な行為に及ぶ、しかも、法を犯してまで…という気持ちはわからない。

 

今回の死亡事故をきっかけに、ディーン・ポッターという人物の事を初めて知った。

日本のAmazonで検索してみたところ、彼に関する本は出ていない。ウイングベースジャンプに関するDVDがかろうじて出ているくらいのようだ。ひょっとしたら自分の検索の仕方が悪かったのかもしれないが、とにかく見つからなかった。

普通の生き方しかできない自分には、彼は別世界の人間のように思える。

だから、今は彼のことをもう少し知りたいと思う。

彼が何故そういう生き方を選んだのか、そして、何が彼を突き動かしていたのかを。