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自分用備忘録的な何か。

なでしこジャパンvsアメリカ じっくりマッチレビュー FIFA女子W杯カナダ大会。

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初優勝から4年。

2011年7月17日。

まだ東日本大震災の傷跡が生々しく残っている日本国民に、なでしこジャパンはW杯優勝という偉業をもたらし、勇気づけた。

多くの日本人はこう思っただろう。これは、神様がくれた一度限りの奇跡だと。

だが、なでしこジャパンはその後も勝ち続けた。

ロンドン五輪でも決勝まで勝ち上がり、W杯と同じようにアメリカと金メダルを争った。アジアカップ2014でも、なでしこはオーストラリアとの死闘を制して優勝を成し遂げた。そして、今回もギリギリの戦いの連続だったが、その全てを1点差で凌ぎ切り、決勝まで駆け上がってきた。

それらの結果は、「幸運」の一言で済ませられるものではない。紛れも無く、彼女たちは世界の強豪の一角を担う存在になり、多くの国々から羨望の眼差しで見られるチームになったのだ。

そして、初戦を戦ったバンクーバーで相まみえるのは、またもアメリカである。これで、ドイツW杯、ロンドン五輪、そしてこのカナダW杯と、三大会連続で世界的なタイトルを争うのは、なでしこジャパンとアメリカということになった。

その舞台に臨むなでしこジャパンのスタメンは、決勝トーナメントに入ってからずっと変わらない下記の11人である。

GK:海堀あゆみ
DF:有吉佐織、熊谷紗希、岩清水梓、鮫島彩
MF:川澄奈穂美、阪口夢穂、宇津木瑠美、宮間あや
FW:大野忍、大儀見優季

アメリカは4年前の雪辱に燃えている。なでしこジャパンはこの最強の敵にどう対抗するのか。

 

悪夢の16分間。

前半開始早々、なでしこジャパンは失点する。

前半3分にCKからロイドに素晴らしい先制点を許すと、その2分後にはペナルティエリア左でFKを与えてしまい、低いクロスから再びロイドに追加点をあげられてしまう。さらに14分には右サイドからヒースがアーリークロス、岩清水がクリアするが中途半端になってしまい、そのルーズボールをホリデーが豪快にボレーを決めて3-0。その直後の16分には、GK海堀の位置を見極めたロイドがロングシュートを選択、そのボールは海堀が触れるものの、ポストに当たってゴールマウスに吸い込まれていった。

ここまで、粘り強い戦いを見せてきた、なでしこらしからぬ立て続けの4失点。なでしこ達は何も出来ないまま失点を重ねてしまった。

そしてようやく落ち着いてボールが持てるようになると、27分に中央に切り込んだ川澄がクロスを送り、大儀見がワントラップから反転シュートを放ち、1点を返す。

そのすぐ後の33分、佐々木監督が早くも動く。岩清水に代えて澤穂希を投入したのだ。この交代にはいろいろな意味が込められているとは思うが、正直言って自分はとても驚いた。

さらにその6分後には川澄を下げ、菅澤優衣香をピッチに送り込む。だが、前半のうちに追加点を奪うことは出来ず、前半は1-4で終了した。

 

あきらめないなでしこ。だが…

後半5分にブライアンのシュートでアメリカがチャンスを掴むが、ここは海堀が良いセービングを見せて凌ぐ。

その直後の後半7分に、なでしこが左サイドでFKを獲得する。宮間が蹴ったボールは、澤と競り合ったジョンストンに当たってゴールに入り、2点目を挙げる。

だが、アメリカはそのすぐ後の後半9分に再びなでしこを突き放す。またもCKからラピノーの鋭いボールをファーサイドでブライアンが折り返し、ヒースに押し込まれてしまった。

W杯の決勝で5点も決められるとは、正直考えもしなかったし、当のなでしこジャパンの面々も思いもよらなかっただろう。それどころか、アメリカのエリス監督ですら、試合後の会見で「すべてが完璧にはまった。正直に言えば、これほどうまくいくとは想像もしていなかった。」と述べている

もう後がないなでしこジャパンは後半15分で最後のカードを切り、大野に代えて岩渕真奈をピッチに送り込んだ。

対するアメリカも、再三再四素晴らしいボールを供給し続けたラピノーを下げ、オハラを投入した。

その後、後半17分の宇津木のシュート、後半23分には良い展開から大儀見がシュートを放つもGKソロの正面。26分にも宮間のクロスから大儀見が頭で合わせたが、ゴールならず…と、畳み掛けるがゴールは遠かった。

後半30分前後から、なでしこは3-4-3にシステムを変更し、がむしゃらに得点を狙っていく。その直後、左の宮間がクロスを上げ、菅澤がヘッドで合わせるも、GKソロの牙城を崩すことは出来ず。

後半34分。アメリカはヒースに代えてワンバックを、そして 後半41分にはモーガンに代えてランポンを投入し、試合を締めにかかる。

後半の追加タイムは3分あったが、結局日本は得点を奪うことが出来ずに、2-5のまま試合は終了し、アメリカが1994年大会以来の優勝を手にした。3回目の優勝は史上最多である。

 

W杯で7試合戦うということ。

今大会、アメリカの試合は初戦のオーストラリア戦と、準々決勝の中国戦を見た。

オーストラリア戦は、正直アメリカもエンジンがかかってないという印象で、それでもしたたかに勝つアメリカの強さに感心した。だが、準々決勝の中国戦になっても、アメリカのエンジンはまだかかってないように見えた。その後のドイツ戦で2-0と快勝したところを見ると、尻上がりに調子を上げ、ターゲットを準決勝、決勝あたりに持ってきていたのかもしれない。

そう、アメリカはW杯で7試合を戦うためのコンディショニングをしてきたのだ。

対するなでしこも、3試合で終わるつもりは毛頭なかった。

グループリーグはコンディションがまだ万全ではないものの、それでも勝利を手繰り寄せ続け、トーナメント1回戦のオランダ戦では、点差こそ1点差だったもののプラン通りの試合で見事な勝利をモノにした。続くオーストラリア戦、イングランド戦でも佐々木監督のゲームプランは概ね成功し、決勝への切符を掴んだ。

なでしこもまた、W杯で7試合を戦う立派なチームになっていた。

今大会、このメンバーで行くと決めた時点で、なでしこジャパンの照準は、本当の意味でW杯連覇に定められた。メンバーの若返りを諦めたということは、なりふり構わず結果を出しに行くということなのだ。だが、それは果たせなかった。

おそらくその代償は大きい。この4年間、ほぼ同じメンバーで戦ってきたツケを、今後のなでしこは払っていかなければならないのだ。

聞く所によると、佐々木監督はリオ五輪まで続投することになっているらしい。だが、そこに待っているのは茨の道だ。なでしこは、いつまでも澤に頼るわけにはいかないのだ。

今回ばかりは、自分も下記のセルジオ越後の意見に同意せざるを得ない。

www.soccer-king.jp

今後も、W杯や五輪で好成績を出し続けるためには、日本のサッカー界が一丸となって強化に取り組んでいかなければ駄目だろう。

ひたむきさ、粘り強さと言った聞こえのいい言葉に逃げること無く、現実を見て、目の前に突き付けられた課題をクリアしていく事こそが、今後のなでしこ、そして男子も含んだ日本サッカー全体に課せられた使命なのだ。

だが、今は戦い終わったなでしこに心からお疲れ様と言いたい。

決して恵まれた環境でサッカーをやっているわけではないにもかかわらず、ここまでの結果を出し続けるのは尋常なことではない。

だって、準優勝ですよ? 十分に誇っていい。

本当にお疲れさま!