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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

日本は、この先なでしこ達に不安を感じさせない国になれるか。

W杯 なでしこ サッカー

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W杯準優勝のなでしこジャパンが帰国。

先日、カナダでの死闘を終えた、なでしこジャパンの面々が帰国した。

決勝戦でアメリカに完膚なきまでに叩き潰されたとはいえ、2大会連続のファイナリストとなったのだ。十分に誇るべき結果であり、胸を張って帰ってきて欲しいと思っていた。

テレビで生中継された記者会見を見る限り、なでしこジャパンの面々は、打ちひしがれている様子ではなかった。結果を冷静に受け止め、次の目標を見据えているような、そんな雰囲気だったので安心した。

そんな中、会見で、キャプテンの宮間あやを始めとして、各選手がしきりに訴えていたのが、「今後の女子サッカーの行く末」だった。

www.footballchannel.jp

宮間は上記の記事で以下のように答えている。

「ひとりでも多くの方に浸透していると言ってもらえれば嬉しいのと同時に、2011年にW杯で優勝して以降、たくさんの方に関心や興味を持っていただいて注目してもらいながらも、日本国内の女子リーグでなかなか観客が増えない、または減ってしまっているという現状がある。

 大きな大会がある度に注目してもらっているとは感じるが、私たち自身は結果を出し続けなければすぐに離れていってしまうという不安を選手は抱えながら戦っている。なので、不安を感じなくなったら文化になったといえるんじゃないかなと思う」 

 また、岩渕真奈は自身のブログでなでしこリーグへの来場を促している。

www.soccer-king.jp

そして、川澄奈穂美もまた、なでしこリーグに注目して欲しいとコメントしている。

www.soccer-king.jp

各選手が危機感を感じているからこそ、なでしこリーグへの来場を呼びかけているのだろう。では、なでしこリーグの現状とはどうなっているのだろうか?

 

なぜ準優勝した選手たちが危機感を持つのか?

4年前、なでしこジャパンがW杯で優勝を成し遂げると、いわゆる女子サッカーブームが訪れた。

それまで、基本的に無料開催だった試合も、有料開催されるようになったが、それでも人気チームの試合は1万人以上の観客が詰めかけ、さらにはBSフジで「INAC TV」というINAC神戸レオネッサの応援番組が始まるほどだった。

ちなみに、この時期には我が町でもなでしこリーグの開催があり、INACと湯郷ベルの試合が行われた。それまでJFLの試合で1200人程度の観客しか来たことのなかった我が町の陸上競技場にも、4000人以上の客が詰めかけ、ほぼ満員となった。

だが、それから3年が経った昨年は、INACですら平均2500人程度に留まった。詳しいことは下記の記事に書いてあるが、つまり、ブームは去って、定着したと言えるほどのファンが残ってくれなかったということだ。

biz-journal.jp

今回のW杯の「準優勝」という結果は、日本国民にとってどう受け止められるだろうか。

普通に考えたら、W杯2大会連続、そしてロンドン五輪も決勝まで進むなどというのは、とんでもない偉業である。だが、決勝の惨敗のイメージが、結果をネガティブに捻じ曲げてしまわないかが不安である。

ただでさえ、日本人は熱しやすく冷めやすい。日本のテレビも表層的な部分だけを取り上げて、すぐ感動話にもっていくか、さもなくばバラエティ番組化してしまうかのどちらかしかしない。

例えば、帰国会見を中継したNHKで「週末にはなでしこリーグが始まりますからね!(正確には再開である)」と言っていたが、だったらせめて対戦カードくらい紹介しても良かったんじゃないだろうか。いきなりINACと湯郷ベルという好カードの対戦があるというのに。

ちなみに、週末の対戦カードは以下の通りである。

なでしこリーグ第10節 7/12(日)

15:00  新潟L×ベガルタ 当間多目的グラウンド クロアチアピッチ

15:00  湯郷ベル×INAC神戸 岡山県美作ラグビー・サッカー場

16:00  日テレ×AS埼玉 ひたちなか市総合運動公園陸上競技場

16:00  伊賀FC×大阪高槻 三重交通Gスポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場

17:00  浦和×ジェフL 浦和駒場スタジアム

女子サッカーを、本当の意味でスポーツとして捉え、そして伝えるということが日本のマスメディアには出来ないのだ。いや、これは女子サッカーに限った話ではない。男子のサッカーもそうだし、バレーなど他の競技も同じことなのだ。つまり、この国には真摯にスポーツに向き合おうとするメディアが少なすぎるのだ。

それをわかっている、あるいは、この4年間で実感したからこそ、なでしこの選手たちは危機感を隠すこと無く発言したのだろう。

 

消費するだけでは「文化」たりえない。

日本でのスポーツを取り巻く現状は、まさに「消費」そのものだと思う。

話題になりそうな選手、競技にハイエナのごとく集り、そして恩師や少年時代の友人、果てはその近所のおばちゃんまで捕まえてきて報道する。だが、そこにはスポーツの姿はない。取っ付き易い「エピソード」だけを抜き出し、「いい話」として伝えるだけだ。

だが、そんな報道を見たところで、そのスポーツの事は何時まで経っても理解できない。錦織圭の子供の頃の「負けず嫌い」だったというエピソードをいくら見たところで、テニスの本質を理解することは出来ないのだ。たとえば、錦織が出るからといってウインブルドンを見ていた人で、テニスが何ゲーム先取で、何セットマッチで行われているか、ちゃんと理解していた人がどれほどいたのだろうか。

今回の帰国会見で述べた、宮間が感じていた「不安」は、このあたりがその源泉なのではないか。結局のところ、W杯で活躍して報道量が増えたところで、それは単に日々消費されるコンテンツの一つにすぎないことを十分に理解しているからこその、あの発言だったのだろう。

そういう意味では、本当の意味で日本でサッカーのみならずスポーツが文化として定着するためには、選手ではなく、伝える側であるマスメディア、そして受け取る側である我々が、真摯に「スポーツそのもの」に向き合う必要があると思う。

その時こそ、初めて宮間が感じた「不安」が払拭される時なのだ。

問題は、そんな時が果たしてくるだろうか、だが。