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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

マイクロソフト、東京ゲームショウやめるってよ。そして、いまそこにある日本ゲーム業界の危機。

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東京ゲームショウ2015に出展しないマイクロソフト。

www.famitsu.com

上記のファミ通の記事によれば、マイクロソフトは今年の東京ゲームショウへの出典を見送るようだ。

無理もない判断だと思う。

海外に遅れること10ヶ月、ようやく2014年の9月になって、新ハード「XboxOne」の日本発売にこぎつけたが、初週の販売台数が24000台弱という、「新規ハードの発売初週」と考えると「惨敗」に近い結果を叩きだした。

その後も販売台数は低調に推移し、2015年の5月時点で5万台、最近の週間の販売台数では3桁がずっと続いている。3桁といっても、ぎりぎり3桁というレベルなのだ。最新の販売台数は166台である。

www.famitsu.com

そういう状況で、「マイクロソフトが東京ゲームショウへの出展を見送る」と言われたところで、特に何も驚きはない。「そうか、うん、わかる」的な感想しか出てこないのだ。

 

かつては鼻息荒く日本に上陸したマイクロソフト。

2002年2月22日。マイクロソフトは初代Xboxで、当時は世界2位の市場規模を持つゲームの王国だった日本に殴りこみをかけてきた。

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およそ家庭用ゲーム機とは思えない大きさのゲーム機本体だったが、日本におけるローンチ時のプロモーションはかなり力が入っていた。なんといっても、あのビル・ゲイツが来日し、「笑っていいとも」に出演したり、発売記念イベントに参加したりしていたのだ。

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ローンチタイトルは12本もあり、しかもアクション、シミュレーション、ファミリー向けと結構バラエティに富んだラインナップだった。

だが、初代Xboxは、ただでさえ後発の海外製ゲーム機という時点でハンディを背負っていたのに、ディスクに傷がついてしまうという問題が発覚する。普通なら、初期不良として本体の交換等の措置が取られると考えてしまうのだが、マイクロソフトはここで下記のようなコメントを出して事を収めようとしてしまったのだ。

 「ディスクの自然な摩擦などにより起こりうる現象であり、通常のゲームプレイやDVDビデオの再生、音楽CDの再生に影響を及ぼした事例はありません」

これは、マイクロソフトが商品の外観をかなり気にする、日本の消費者の動向を見誤った結果である。この問題で、ただでさえ不利だったマイクロソフトの日本でのゲーム業界における立場は、更に苦境に立たされることとなり、最終的な本体の販売台数は、50万台程度だったと言われている。

 

勝てる要素があったはずのXbox360。

初代Xboxの日本発売からわずか3年後の2005年。マイクロソフトはXboxの後継機種を発売する。それが、Xbox360だ。

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直接のライバルであるPS3より約1年先行での発売。そして、国内ゲームメーカーの積極的な協力により、ローンチタイトルのラインナップも充実し、初代Xboxのような「洋ゲー専用機」というイメージは払拭されたはずだった。

ちょうど同じ時期に段々普及し始めた、HDMI端子を備えたテレビに接続することにより、ハイビジョンでのゲーム体験を楽しむことが出来るという点でも、他のゲーム機にはない強みをもっており、マイクロソフトはそれを「ハイデフエンターテイメント」としてアピールしていた。

dengekionline.com

HDゲーム機のトップバッターとして売れる要素はあった。日本のゲームメーカーのソフトも多数用意出来た。そして、それまでにないゲーム機の特徴をわかりやすくアピールするプロモーションも行っていた。そこには、かなりのお金がつぎ込まれたはずだった。

だが、結局はXbox360も売れなかった。

初代Xboxの傷問題でのイメージ悪化や、そもそもマイクロソフトの日本ゲーム業界における実績の乏しさなどから、消費者の選択肢にXbox360が入らなかったというのが、最終的に販売台数が160万台弱に留まった原因だろう。

 

「勝つまでやる」はずだったマイクロソフト。

かつて、マイクロソフトは日本ゲーム市場への意気込みを「勝つまでやる」と公言してはばからなかった。だが、度重なる日本市場での失敗と、ワールドワイドでの日本の存在感の低下により、ここ数年はそういった雰囲気ではなくなってきた。その最たるものが、今回の東京ゲームショウ不参加という事態だろう。

正直に言うと、Xboxシリーズが売れなかった原因として、日本のゲーム市場が海外のハードウェアやゲームに対して、閉鎖的であるという事情があったのは否めない。

それに、これはXbox360以降の問題なのだが、海外でのゲームの嗜好と日本のユーザーの求めるゲームに、かなりの乖離が見られるようになってきたというのも大きな要因だろう。日本でヒットを飛ばすためには、日本で売れるゲームを作らなければならない。だが、そのゲームは海外では売れないのだ。

それでも、かつてのように日本の市場規模がそれを許容できるほど大きければ問題はなかった。だが、特にここ数年日本の家庭用ゲーム機市場規模はどんどん縮小している。そんな中、日本でしか売れる見込みの無いゲームを何億円もかけて開発するわけにはいかないのは自明の理である。

マイクロソフトの東京ゲームショウ不参加という出来事は、表面的には「日本におけるXbox事業の失敗」としか受け止められないだろう。だが、これは裏を返せば「日本の市場など無くても問題ない」というマイクロソフト本社のメッセージであるとも言えるのだ。

そういう意味で考えると、今回の一件は日本のゲーム業界にとって、もっと重要な、そして危機的な意味を持つ「事件」であるとは言えないだろうか?

一人のゲーマーとして、今回の「事件」は、言い知れぬ寒気のようなものを感じた。それが、ただの杞憂であってくれることを祈るばかりだ。