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自分用備忘録的な何か。

昔の田舎暮らしって、結構搾取されてたんじゃねーか?って話。

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スーパーなんてなかった頃。

自分は、今でも田舎に住んでいるが、子供の頃は更に田舎に住んでいた。

当時のその町には、スーパーマーケットなどというものはなく、かと言って商店街で買い物しようにも、駐車場などというものも存在しないため、みんな買い物するときは路駐してサッと買い物をしていたりした。

我が家は、その田舎の町でも更に郊外にあったため、その周辺にはなにも店がなく、買物をするためには町の中心部へ車で出かけなければならなかった。だが、当時はまだ週休二日制が始まっておらず、基本的に日曜日しか買い物に行けなかった。

そんな、今で言う買い物難民的な人たちのために、軽トラックに野菜や日用品や雑貨などを積んで売りに来る人がいた。ひょっとしたら、人じゃなくてどこかの業者だったのかもしれないが、とにかく、その車が来るとウチの祖母なんかがよく買いに行っていた。

だが、当然お店で買うよりは高い値段で物が売られているため、祖母はいつも文句を言っていた。とはいえ、そこで買い物ができないと日曜日まで何も手に入らないので、諦めて買わざるを得なかった。

唯一、豆腐屋だけが家の近くの橋を渡った所にあったのだが、大きめではあったものの一丁100円だった。当時の物価で豆腐一丁100円は結構高い。だが、豆腐は日々の味噌汁などに必要なので、高くても買わないわけにはいかなかった。

 

ドラッグストアも当然なかった。

昔は結構ありがちな話だとは思うが、ウチにも「置き薬」があった。たしか、トキワ薬局の置き薬だった。

田舎の町には当然ドラッグストアなんてものはなく、薬は薬局にいかなければ買えない時代だった。だが、その薬局がまた町の中心部の駐車場がない所にあったりするし、営業時間も短かった上、日曜日に休んだりすることも多かったので、薬が必要になった時には店が閉まっていたなんてことがザラにあった。だから、置き薬を置いていたのだ。

だが、置き薬は普通に買うより割高な上に、一箱辺りの量も少ない。正直いって、市販の大容量タイプのものと比べてしまうと、かなり高いと言わざるを得ない。それに、例えば風邪薬だけで何種類もあったりする。なんだかとても無駄な感じがするのだが、当時はあまりそういう考え方をしなかったので、何の考えもなしに置き薬を使っていた。

 

なんか色々売りに来ていた人たち。

今では考えられないことだが、昔の我が家は買い物に出かけるときも、鍵をかけるなどということはせず、そのまま出かけていた。なので、帰ってきたら近所のおばちゃんがお茶を飲んで待っていたなどということもザラにあった。

それに、当時は押し売りではないのだが、何か商品を持って売りに来る人が沢山いた。その中には、野菜や山菜などの産直品的なのものもあれば、何故か日本刀のレプリカや鎧兜、宝石などを売りに来ていた人もいた。

山菜などは、身近に山があるのでいくらでも取りに行けるのだが、わざわざ売りに来てくれたということで、わりとウチでは買っていた。だが、よくよく考えると自分で採りに行けばタダで済むものを、わざわざ買うというのもなんだか無駄な話である。しかも、知っている人ならともかく、どこの誰とも知らない人から買っているのだ。

日本刀のレプリカも、なぜかウチの祖父が買ってしまった。あれも、どこの誰だかわからない人が売りに来て、最初は要らないと言っていたのだが、結局説き伏せられて最終的には買うことになっていた。

それもこれも、情に訴えて買わせるというビジネステクニックを利用したもので、今にして思えば、いいように搾取されていたんじゃないかと思う。ウチの家族が人が良すぎただけなのかもしれないが、とにかく、その田舎町に住んでいた時は、かなりこういう「なにか売りに来る人」が多かった。

一度などは、おかしな平安時代的な格好をした人が、玄関先で笛を吹き始めて、演奏が終わった後に「曲を聞かせてやったんだから金をよこせ」と言われたことがあった。家族がいないからお金は払えないと言っても聞き入れず、仕方なく100円を渡したら「100円とは何事だ!」と言って、怒って帰ってしまった。あれは、「ほいど」という呼び名で有名な、今で言う不審者だったのだが、子供心にビビったのを覚えている。

とにかく、当時は家に鍵をかけておくという習慣がないから、そういう人たちが来放題だった。玄関には呼び鈴なんてものはなく、誰かが来れば玄関を開けてズカズカ土間に入ってくるのが当たり前だったのだ。

 

時代は変わり、搾取も減った。

それからしばらくすると、当時住んでいた田舎町にもスーパーマーケットが出来た。これは大事件だった。何しろ、夜の9時まで営業していて、そこに行けば何でも手に入り、駐車場も完備されていて、しかも他の店より安い物を売っているのだ。

当然、そのスーパーが出来る時には、町の商店街から壮絶な反対運動があった。だが、我々消費者からすれば、スーパーが出来るのはありがたい話だったし、それまでいかに高い値段で商品を買わされていたのかがわかってしまったのだ。

時代が変わって、出かけるときや、自分以外に家族が誰も居ない時に、玄関の鍵をかける習慣が我が家に定着すると、何か物を売りに来る人もグッと減った。そして、その後ホームセンターやドラッグストアが出来たので、置き薬もやめた。

そんなこんなで、町に色々商業施設が整い、田舎ならではの搾取商法もなくなっていった。

もう誰も無断で家に上がり込む人はいないし、軽トラックで野菜や雑貨を売りに来る人もいなくなった。一丁100円で豆腐を売っていた店は廃業してしまった。薬局は、日曜日も営業するか、あるいは店をたたんでしまった。

都会に住んでいる人からすれば、「田舎ならではの風景」に感じるかもしれないもの。それは、当事者からすれば、上手いこと搾取されていただけだったのかもしれないと、今からすれば思ったりする。

便利な生活を手に入れた代わりに、何かを失ったのだろうか。それとも、普通の市場価値で、物を手に入れられるようになった事を喜ぶべきなのか。

どっちなんでしょうね。