Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

病院のハルヨちゃん。

今週のお題「一番古い記憶」

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病院の学校。

恐らく脳裏に焼き付いている記憶の中で一番古い記憶は、オレンジ色のカーテンの暗い部屋で、布団に寝ている様子だ。だが、それがなんなのか、自分にはわからない。映画のイメージボードのように、完全に「静止した絵」なのだ。

ウチの母親は、自分が2歳の頃に父と離婚している。自分にはその父の記憶が全くない。イメージボードのような静止画も、ひょっとしたらその頃の記憶なのかも知れないが、正直言って何の根拠もないのでなんとも言い様がない。

そんなこんなで、一番古い「鮮明な記憶」という事を考えてみると、何歳の頃だったか忘れたが、肺炎で病院に入院してた頃の話に辿り着く。

自分は、子供の頃とにかく体が弱かった。今でも別に強い訳ではないが、保育園〜小学校低学年位までは本当に体が弱く、冬は保育園には行かずにずっと家にいたくらいだった。

そんな自分が、幼いころ肺炎を患ったらしい。我が家は結構な田舎にあったので、ちゃんとした治療を行えるようにと母が考えて、近隣のちょっと大きな市の病院に2ヶ月ほど入院することになったのだ。

その病院には、長期入院する子供のための学校のようなものがあった。今から考えるとあれが学校だったのか、それともただの保育施設的な何かだったのかはわからないが、とにかく入院中はそこに通うことになったのだ。

 

仲良くなった女の子。

その病院内の学校の様な場所に、自分と同じ年の女の子がいた。名前は「ハルヨちゃん」といった。

自分は、どういう訳かそのハルヨちゃんにいたく気に入られた。彼女がどこの病室にいたのかすら実は知らない(覚えてない)のだが、学校に行っていない時間帯でも毎日自分の所に遊びに来ていた。

今にして思えば、あれは自分にアタックされていたんだろうと思う。とにかく、何をするにもハルヨちゃんが一緒にベッタリついてきて、子供心にも「この子は自分のことを気に入っているんだろうな」とわかるくらいだったからだ。

自分の母親が言うには、「お前は子供の頃は可愛かったんだよ」と言う事で、結構モテていたらしい。その後一度もモテ期が来ていない所を見ると、自分のモテ期は保育園に通っていた頃くらいがピークだったんだろう。ちなみに余談だが、その後十年くらい経つと、自分は非モテキモオタ路線に進んでいくことになる(どうでもいい)。

ウチの母親も、ハルヨちゃんの事を結構気に入っていたらしく、しょっちゅう遊びに来ていた手前、一緒に食べるオヤツを買ってきたりしていた(本当のところ、入院中にオヤツを食べてよかったのかどうかは不明)。いわば、親公認の仲のようなものだった。

だが、自分は普段は人見知りしないのに、どういうわけかハルヨちゃんのあまりにも積極的なアタックには正直ちょっと引いていた。別に嫌いだったわけでもないし、思い出の中のハルヨちゃんの姿を思い浮かべると、結構可愛い女の子だった筈なのだが、何故か一歩ひいた反応しか出来なかったように思う。照れくさかったのだろうか。

 

別れの時。

ハルヨちゃんは市内に住んでいる、自分からすると都会の人(本当はどっちも田舎なんだけど)だった。そして、自分は退院するとその学校的な所も当然出ていかなければならない。肺炎が快方に向かうに従って、その時は近づいていた。

そして、いよいよ退院が近づいた時、ハルヨちゃんはそれを知って泣いた。自分との別れを、もの凄く嫌がっていた。自分の母親に「ずっとここにいたい。ゆきぼうとお別れしたくない」と言って泣きついたらしいが、今にして思えばそんなことを言われてもウチの母も困るだけだっただろう。

そんなことをしているうちに、確実に退院の日は近づいていき、ついにその当日になった。ハルヨちゃんは、その日は自分の所に来なかった。ひょっとしたらハルヨちゃんの親が、ハルヨちゃんが他人の病室で泣き喚くのを察して自分の所に来させないようにしていたのかもしれないが、真偽の程は不明である。

そしてその日、あれだけアグレッシブにアタックされていたことを苦手に思っていたにもかかわらず、最期の日は「ハルヨちゃんは来てくれないんだ…」と思うと、自分は得も言われぬ寂しさを感じていた。なにかぽっかり心に穴が開いたような。

あれはひょっとしたら、幼い自分ながらの生まれてはじめての「恋」だったのかもしれない。そう、人生で最も古い、そして鮮明な記憶は、自分にとっては恋の記憶だったのだ…と、今では思う。

ハルヨちゃん、あなたはいま何をしていますか? 幸せに暮らしていますか?

ゆきぼうは結婚して、子供が産まれて、とても幸せに暮らしています(病気だけど)。