Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

田舎民「Gとかマジで見たことねーし」→「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

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G、例のアレ。

G。

例のアレである。

もうサムネとかエントリ冒頭のイラストの時点でネタバレじゃねーかksg!と思われるかもしれないが、自分は奴の名をここで記すつもりはない。名前を読んではいけないあのお方的な感じで、真実から目を背けてこのエントリを書いている。

自分が中学卒業まで住んでいた町は、県内でも結構寒い方で、冬は摂氏-15度とかになるのがわりと普通の地域だった。

これくらい寒くなると、冷たいというかむしろ痛い。頬が常に何かに叩かれているみたいに痛いのである。自分の家のすぐ側でダイヤモンドダストを見たこともある。キラキラ光って綺麗でしたまる。

積雪は子供の頃は普通に1.5メートルくらい平気で積もっていた。これくらい積もると、もう雪かきの時は「片付ける」というより、「掘る」だ。玄関を開けるといきなり雪の壁が出来ているので、掘るのだ。

かまくらなんかも、いちいち雪を積み上げる必要など無い。横に掘っていって、ちょっと天井を補強すれば出来上がりだ。よく見る「まあるいかまくら」などではなく、カッパドキアの地下都市のような、横穴かまくらである。

何が言いたいのかというと、このくらい寒いとあいつら生き残れないのである。3億年もしぶとく生き残っているわりには、この程度の寒さでは繁殖できないのだ。氷河期すら生き残ってきたくせに。

というわけで、自分はGなんてものは生まれてこの方見たことがなかった。よく、漫画やドラマなんかで「きゃー! Gよー!」なーんて場面を見かけるが、自分は「ハハッ、そんなの見たことねーし。てか、そこまで大騒ぎするもんなの? 大げさすぎるだろw」くらいに思っていたのだ。

そう、あの日が来るまでは。

 

G、その恐怖。

大学生時代、自分はキャンパスから徒歩10分の所にあるアパートに住んでいた。物件名は「黒沢マンション(もう無いので、実名公開)」という名前だったが、どこからどう見てもアパートだった。

その部屋は、完全なワンルームだった。「完全な」というのはどういう事かというと、「玄関開けたらすぐ部屋」だったのだ。おわかりいただけただろうか。

一般的なワンルームの部屋というのは、玄関を開けるとユニットバスとか流し台とかがあって、その向こうのドアを開けると部屋だったりするのだが、自分が学生時代に住んでいたのは玄関開けたらすぐ部屋で、なんの仕切りもない、居住空間と同じスペースに流し台とガス台が置いてあったのである。わかりやすくイメージで伝えるとすれば、独房のような部屋だった。

その日は、友達が自分の部屋に遊びに来ていた。一緒にゲームをして遊んでいたのだ。自分の部屋にはエアコンも無かったので、窓は常に開け払っていた。

ふと、ゲームが一段落した時に部屋の壁を見ると、カブトムシのような何かが張り付いているのに気がついた。自分は、素直に気になって「あ、なんだろあれ?」とつぶやいた。だが、友達から帰ってきた言葉は耳を疑うようなものだった。

「あ、あれ、Gじゃね?」

え…?

G…?

一瞬、沈黙が自分の部屋を襲った。

永遠に続くかと思われたその沈黙を破ったのは、自分の叫び声だった。

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

生まれて始めてみたGは、まるで漫画に出てくるような綺麗な黒い体をしていて、長く伸びた触覚をコソコソと動かしていた。

これが、これが本物のGか…!

何と禍々しい…!

どうにかして退治しなければならない。だが、自分はどうしていいかわからなかった。

「こういう時はどうすればいいの!?」

うろたえる自分の質問に友達は冷静に答えた。

「潰せ!」

次の瞬間、TVガイドを握りしめ、自分はGと対峙していた。ポケモンの戦闘画面よろしく、正対してのにらみ合いが続いた。そして、意を決して自分は攻撃コマンドを発動した。

その刹那、頭の中をとても嫌なイメージがよぎった。壁にベチャッと張り付いたGの成れの果てだ。アレを片付けるのは自分だぞ。壁に跡が残ったら気持ち悪い。嫌だいやだイヤダ…

そんな雑念が、自分の手元を狂わせた。そして、Gはその身体からブワッと羽を拡げて自分に襲いかかってきた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

Gとのファーストコンタクトは自分の完全敗北に終わった。

結局、そのままGは自分の部屋で姿を消した。だが、この部屋は「完全なワンルーム」である。寝ている時にGに襲われるという事態も考えられる。そんな事が頭をよぎると、夜もおちおち眠れない。それからの数日間は得も言われぬ恐怖との戦いだった。

数日後、帰宅した際に玄関にGがいるのを発見し、あまりに唐突だったので「ぎゃぁっ!」と叫んでしまったが、次の瞬間足で廊下に蹴りだした。

こうして、自分とGとの壮絶な戦いは、一応の決着を見た。

 

G、大量殺戮。

大学卒業後、自分は外食産業に就職した。

2年目の秋、自分は赤坂のお店の副店長として赴任することになった。とはいえ、そのお店は朝の11:00から夜中の4:30まで営業するという、当時のその会社における初の実験店舗だった。開店から閉店までずっと店長がい続けるのは不可能(だけどやらされた)だったので、実質店長クラスの人間として、自分が招聘されたのだ。

そのお店は「月世界ビル」という、赤坂でもちょっと名の知られたテナントに入っていた。昔は有名なグランドキャバレーがあったらしい。

月世界ビルは古かった。なので、普通に茶色いGがガンガン出没した。改装でどんなにお店を綺麗に仕立てあげても、配管や裏口などは古いままだ。どうしても、そういう所からあいつらが忍び込んでくるのだ。

あまりに頻繁に出没するため、自分にも随分免疫が付いてきていた。もう見かけたくらいでは大騒ぎすることもなくなっていた。まあ、茶色いやつはとても小さいので、迫力が無いという事もある。学生時代に見たあいつは多分野生のGだ。デカかったし。

いくらビルが古いからといっても、お客様にその言い訳は通用しない。もし、お店の営業時にあいつがのさばってきたら、お店の信用問題にも発展しかねない。という事で、史上最大の作戦が敢行されることになった。

店長が、大量殺戮兵器「バルサン」を買ってきた。

これがあのバルサンか。生まれて初めて見た。

こいつが、最終防衛ラインまで追い詰められた我々を救う、一筋の光明となるのか。

一縷の望みを抱いて最終兵器バルサンを起動した。自分たちは、厨房を丁寧に目張りした後に、ホールへと避難した。あとは、バルサンがGどもを一網打尽にしてくれるのを待つのみだ。果報は寝て待て。

そろそろいい頃合いだ。

自分たちは、焼け野原となった厨房へと慎重に立ち入った。

特に変わった所は見られない。本当に最終兵器バルサンは、その威力を遺憾なく発揮したのだろうか…?

答えは程なく出ることになった。

ホースを使って水を流すと出るわ出るわ。水に乗って茶色い絨毯のようにどんどん死骸が流れてくる。

人類は、自らの行為に恐怖した。

いや、主語がデカかった。そんな事はどうでもいい。我々は勝ったのだ!

もう、恐怖に怯える日々とはおさらばだ。堂々と、月世界ビルで大手を振って営業を続けることが出来るのだ。

だが、自分たちは知らなかった。最終兵器バルサンが仕留めたGどもは、G帝国の尖兵に過ぎなかったことを。

これは始まりにすぎなかったのだ。

 

G、逃げ出した後。

2000年の夏、自分は東京で働くことに見切りをつけ、地元に帰ってきた。

べ、別にGに敗れ去ったわけではない。

長男で一人っ子だし、いずれは地元へ戻ってこなければならなかったのだ。断じて、全体主義国家G帝国の、無尽蔵とも言える戦力の前に撤退を余儀なくされたわけではないのだ。

地元に帰った後、自分には安らぎが訪れた。

もう、ここにはやつらはいない。部屋でGを見かけてしまって、いつ襲われるかとドキドキしながら眠れない日々を過ごす必要など無い。

あの、バタバタと羽を拡げて飛んで来る恐ろしい様を味あわなくて済む。

あの姿は一度見たら脳裏に焼き付いて離れない。トラウマだ。いや、もはやPTSDと言ってもいいんじゃないだろうか。それくらいの恐怖を味わった。なにか、嫌な汗が背中を伝うのを、自分は確かに感じた。

G。

例のアレ。

3億年生き残ってきただけのことはある。人類なんてまだ数百万年だ。やつらにとって、我々など取るに足らない存在なのだろう。

G。

恐ろしい。

もう、二度と会いたくない。