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自分用備忘録的な何か。

医療ネグレクトの闇。

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経験という名の最大の武器。

今日、下記のような記事を読んだ。

「抗がん剤は効かない」は本当か

http://mainichi.jp/premier/health/entry/index.html?id=20151027med00m010009000c

※10/28 19:00追記 PCからは会員限定記事になっていた模様。

個人的には、ガンを患ってしまったら抗がん剤を使うのが当たり前だと思っているのだが、世の中にはそういう現代医学では治せない病を別の何かで治そうとする人がいる。

これは、自分の知り合いの話なのだが、仮にAさんとしよう。

Aさんは、東京生まれ東京育ち。10年以上前の独身時代、貯蓄も全くせずに自分の好きなモノを好きなだけ食べていたらしい。タバコも吸っていたし、お酒もガンガンに飲んでいた。

ある日、健康診断で異常な数値が出たという事で病院に検査に行ったのだが、そこでAさんは思わぬセリフを医師から告げられることになる。

「貴方の病気はガンです。かなり進んでおり、助かる見込みは殆ど無い」

Aさんは、恐らく目の前が真っ暗になったことだろう。

とりあえずAさんは入院して、手術を受けることになった。貯蓄はまったくなかったので、親兄弟が資金を工面してくれた。Aさんの両親はそれなりにお金を持っていたので、ある意味運が良かった。

手術はしたが、Aさんによれば、取りきれなかったガンがあり、転移の可能性もかなり高いので、余命1年である事を医師から告げられたのだという。

Aさんの家族は、藁にもすがる思いで、ある健康食品をAさんに飲ませることにした。ここでその名前を言うのは、個人的にはばかられるので言わないが、正直言っていまでも胡散臭いと思っている。

だが、その健康食品を摂取して、しばらくした時に驚くべきことが起きた。ガンの進行が止まったどころか、跡形も消えてなくなってしまったのだという。医師もなぜこんな事が起きたのか不思議がっていたそうだ。

Aさんは、その後自分の知り合いの女性と結婚し、東京からこの田舎町へ引っ越してきた。奥さんのほうがはるかに収入が上だったため、こっちに家を建てて住むことになったんだそうだ。まあ、貯蓄もゼロだったし。

自分がAさんと知り合いになったのはその頃だ。

当然、キャッチーなエピソードとしてそのガンの話をされるのだが、生粋の懐疑論者である自分には、その話をにわかには信じられなかった。

本当に、怪しげな健康食品ごときでAさんいわく「医者もさじを投げた」ガンが治ったりするもんなんだろうか。

 

自然治癒した可能性。

にわかには信じがたい話だが、ガン患者の中には放っておいても治ってしまう人がいる。とても低確率だが、そういう事が起こりうるのだ。

自分は、Aさんもそういうケースだったのではないかと疑っている。健康食品がガンを退治したのではなくて、Aさんの自然治癒力が、ガンを撃退したのではないかと。

ガンから生還したあとのAさんは、現代医学を信じなくなった。というより、世の中の常識を常に疑うようになった。そして、そういう定説の逆張りをしている説を極端に信じるようになった。

例えば、Aさんは薬を一切飲まない。それだけなら別に構わないのだが、問題は奥さんにも一切薬を飲ませないことだ。風邪をひいて熱を出そうが、熱中症らしい症状が現れようが、決して病院にいけとは言わない。「水を飲んでいれば治る」などといって、医療機関の治療を受けさせない。

これは、非常に問題だと思うのだが、何を言っても受け付けない。無理もない。Aさんは、現代医学から一度は見放された生還者なのだから。

 

周囲に及ぼす影響。

自分は、Aさん達夫婦が高齢であることを理由に、子供を作らないと最初から決めていたことを、ある意味幸運だったと思う。Aさん達にもし子供が生まれたら、絶対に予防接種など受けさせないだろうし、下手をすれば病院ではなく、自宅で出産を敢行する可能性も高かったからだ。

Aさんがガンから生還したことは、科学的な理由が付けられないケースだったのかもしれない。ひょっとしたら、ガンが消えた後も医療機関での精密検査を行うことで、なにか原因を突き止めることが出来たのかもしれないが、現代医療を信用しなくなっていたAさんには、その意志はなかった。

だが、自分がそうだったからといって、全ての人に同じ事が当てはまると考え、配偶者に薬を飲ませない、適切な医療行為を受けさせないというのは、ある意味医療ネグレクトであると言えるだろう。

Aさんの奥さんも、Aさんに配慮しているのは痛いほど伝わってくる。

Aさんは情報リテラシーがあまり高い人ではないので、たとえば電子レンジが有害であると信じていたりする。しかも、思い込みが激しいので、余程権威のある人の説得でもない限り、自分の意志を変えない。

その割に、ネットに転がっている定説への逆張り論説には喜々として飛びついて、SNSなどで吹聴したりする。正直、東日本大震災の時はタイムラインが怪しい情報の洪水になって大変だった。

自分を含め、周囲がどんなにAさんを説得しようとしても、Aさんには「ガンから生還した自分という確たる証拠」があるので、まるで耳を貸さない。

最近では、こちらでの仕事探しに限界を感じ、一人東京へ戻った。今では派遣でサーバー管理者のような仕事をしているが、いずれは自分の命を救った健康食品のバイヤーをやりたいと考えているらしい。

Aさんが何を信じようと、それはAさんの自由だ。だが、他人を巻き込むのだけはやめて欲しい。あの怪しい健康食品を持ってこられると思うと、迂闊に入院も出来やしない。

信じる心は重要だが、時にそれは闇を引き寄せることになる。

そして、周りを巻き込んで闇は大きくなっていくのだ。

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