Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

80年代アイドルの歌が思ったより上手くて驚いた。

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まともに聞いたことなかったんだけど。

先日、病院に行くために実家の母の車を借りた。

ウチには車は1台しか無い。車の維持費って高いし、アパートの駐車場も1台分しか借りてないし、妻は車で30分かかる会社に勤めているけど、自分は歩いて30分、自転車を使えば15分の所に会社がある。だから、2台は必要ないかなぁと考えて買ってない。

車を使いたい時は、普段だったら妻を朝会社に送って行って、日中自分が使うというスタイルになるのだが、最近は自分が睡眠に問題を抱えていることもあり、妻を送っていくために朝に早起きするのが難しい状態だ。というわけで、主に病院に行くときは実家の母の車を借りるようにしている。

自分の車なら、車内オーディオにiPhoneをBluetooth接続し、iTunesと同期した音楽ライブラリを聞いているのだが、母の車のオーディオにはBluetoothが付いていないので、ラジオを聞くことにしている。

で、その日のラジオでたまたま「80年代アイドル」を取り上げるコーナーをやっていた。

自分が子供の頃は、どこのテレビ局も歌番組をやっていた。一番有名だったのは「ザ・ベストテン」だろうか。「歌のトップテン」とか、「夜のヒットスタジオ」とかも覚えている。

自分は、あまりそういう「アイドル」には興味がなかったのだが、ウチの母がそういう番組が好きでよく見ていた。子供の頃は家にテレビが1台しか無かったので、必然的に母が見たい番組は自分も見ることになってしまうのだ。

当時は、ビデオも無かったので、どうしても何度も聞きたい場合は、テレビにラジカセを近づけて直接音声を録音したりもした。都はるみの引退コンサートをテレビでやった時は、2時間近くの間沈黙を守るようにきつく言われた記憶がある。

で、車の中で聞いたラジオ番組で、その日取り上げられていた80年代アイドルは浅香唯だった。

浅香唯といえば、どうしてもスケバン刑事のイメージしか無い。歌番組もそんなに真面目に見ていたわけではないので、どんな歌を歌っていたのかも知らなかった。もっと言ってしまえば、「あの頃のアイドルなんてただ可愛いだけで歌が下手」だと思っていたのだ。

流れてきた歌は、「Believe Again」という歌だった。

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いかにも80年代らしいゴージャスな曲の入り。歌謡曲とJ-Popのあいのこみたいなサウンドの後に聞こえてきた浅香唯の歌声…

あれ? 結構上手い。

 

アイドル黄金時代だった80年代。

80年代は、ピンのアイドルが次から次へと登場したアイドル黄金時代として知られる。実力派シンガーとかシンガーソングライターとかではなく、純然たる「アイドル」が活躍した時代だ。

松田聖子を頂点として、一時は皇太子がファンを公言した柏原芳恵や松本伊代、そして「花の82年組」とか言われた小泉今日子や中森明菜をはじめとする綺羅星のごとく輝くアイドルたち。薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子の角川三人娘…

男性アイドルも、田原俊彦、近藤真彦、野村義男の「たのきんトリオ」とか、本木雅弘、薬丸裕英、布川敏和のシブがき隊、錦織一清、東山紀之、植草克秀の少年隊など、後に長きに渡って人気を博す存在が次々とデビューした。

自分は、そんな80年代を少年として過ごしたが、どうも夢中になれなかった。その頃は音楽を聞くという趣味を持っていなかったし、ドラマなんかも見なかった。アイドルソングよりも、キャプテン翼やキン肉マンといったアニメソングの方がお気に入りだった。

まだ「カラオケ」がそんなに一般化していなかった時代だったので、別に流行りの歌が歌えなくても問題はなかった。だから、80年代の音楽に関する知識がすっぽり抜け落ちているのだ。

記憶の中の80年代アイドルは、キャピキャピしていて、チヤホヤされていて、その実力以外の部分で評価されていると、勝手に思い込んでいた。でも、ラジオで聞いた浅香唯の曲は、自分の記憶の中の80年代アイドルの歌よりも、ずっと歌唱力があった。別にずば抜けて上手いと思ったわけではないが、少なくとも「歌手」を名乗れるくらいの上手さはあると感じた。

 

記憶は案外あてにならない。

本田美奈子が白血病を患って亡くなった時、彼女の歌った「アメイジング・グレイス」や「アヴェ・マリア」がやたら評価され、ヒットチャートを賑わした。その時も、自分は「これはいくらなんでも過大評価すぎるのでは?」などと思っていた。

でも、よくよくデビュー当時の本田美奈子の歌を聞いてみると、結構上手い。

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亡くなる数カ月前に彼女が歌った「アメイジング・グレイス」が下記のYou Tube動画だが、確かにこれも上手い。自分の偏見で勝手に過小評価していたことを今更ながらに恥ずかしく思う。

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ちなみに、彼女が亡くなって今年で10年経つ。10年前の自分は、いまよりずっと見識が狭く、他人の意見を受け入れないタイプの人間だったので、色々と曇っていたんだと思う。あらためてご冥福をお祈りします。

今にして思えば、自分が80年代アイドルをいまいち好きになれなかったのは、カラオケボックスなんかが普及する前で、わざわざ歌を覚える必要がなかったということもあるが、あの「キラキラ輝いているアイドルという手の届かない存在」に、なにか妙な嫉妬を覚えていたからかもしれない。

最近の音楽番組は、音楽部分ではなく、トーク部分がメインとして扱われるようになっていた。普段は硬派な歌を歌っている人が、ちょっとボケたことを口にしてMCに突っ込まれる。時には頭を叩かれるなどしてお茶の間を笑わせる。それは、「アーティストといっても雲の上の存在ではなく等身大の人間」みたいな何かを感じさせる。「歌だけではなく、キャラで売る」というマーケティング戦略も透けて見える。

だが、自分が子供の頃の「アイドル」は、まさに別世界の存在のようだった。

芸能界というきらびやかな場所で、自分とは違う時間を生きているなにかだった。今の言葉で言えばまさにセレブだったのだ。そして、自分はそういう別世界の人には全く興味がなかった。むしろ、その眩しさに当てられるのが嫌で、避けていたのかもしれない。

歳を取って、昔より柔軟な考え方ができるようになった今、改めて聞いてみると80年代アイドル達の歌も悪く無い。少年時代に素直に楽しめていれば、今の自分の性格も少しは変わっていたんだろうか。周囲の人と同じ楽しみを共有し、もっと社交的になれていたんだろうか。

なーんて事を考えてしまうあたり、本当にオッサンになったんだなぁと思ってしまった、ある日の午後でした。

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