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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

君は、ウルトラマンを信じることが出来るか。

見たかったのは第1話。

子供の頃、自分は体があまり丈夫ではなかった。

一応、祖母が家で世話をしてくれてはいたのだが、世話と言っても主に食事とか通院とかがメインで、一緒に遊んではくれなかった。必然的に、自分は一人で楽しむ術を見出さなければならなかった。

小学校低学年まではまだファミコンも無かったので、だいたい一人で遊ぶといえば人形でバキューンとかやったり、ブロックを組み立ててあそんだり、好きな絵を描いたりすることだったが、その他にテレビを見るのも大きな楽しみの一つだった。

小さな男の子(とは限らないが)の見るテレビといえば、当時は特撮ものが結構な一大ジャンルを占めていた。

宇宙刑事シリーズ。戦隊シリーズ。仮面ライダーシリーズ。そしてウルトラシリーズ。特に、仮面ライダーシリーズとウルトラシリーズは、よく夕方に再放送をしていた。自分は仮面ライダーも好きだったが、どちらかというとウルトラシリーズの方が好きだった。あと、西遊記とかもやってたなぁ。

で、その夕方のウルトラマンなんかを見ていたのだが、だいたい途中からだった。第1話は見たことがなかった。夕方の30分番組は新聞のテレビ欄でも枠が小さかったので、「ウルトラマン」としか書いておらず、第何話なのかがわからない。しかも、新番組と違って「再」って書いてあるだけなので、その日が第1話の再放送だったとしても気が付かない。そんなわけで、ウルトラマンの第1話は見たことがなかった。

だが、ある年の夏休み。午前中の10時半くらいから「夏休み子ども劇場」みたいな番組が放送されて、そこでウルトラマンが第1話からやるらしいという情報を耳にした。これは是非見なければならないと妙な義務感に駆られた自分は、その日の朝テレビにかじりついて待っていた。

ビデオなど無かった時代のお話である。

 

ウルトラマン、ハヤタ殺したってよ。

ずっと見たかったウルトラマンの第1話。そのタイトルは「ウルトラ作戦第1号」だった。なんという第1話に相応しいタイトル。

冒頭、なんか青い球と赤い球がキャッキャウフフしていると、そこに小型ビートルに乗ったハヤタ隊員が登場。青い球を追えと指示されて追跡していると、赤い球と衝突してビートルは墜落、炎上する。

その後、ビートルから投げ出されていたハヤタ隊員の体をさっきの赤い球が覆って浮かび上がった。ハヤタ隊員が「おいそこにいるのは誰だ」と問いかけると、なんか斜めっているウルトラマンが登場する。

「M78セイウン ノ ウチュウジンダ」

棒読みの声がなんか怖い。さらに…

「モウシワケナイコトヲシタ ハヤタタイイン ソノカワリニ ワタシノイノチヲ キミニアゲヨウ」

ウルトラマンはハヤタ隊員を勢い余って死なせてしまったようだ。

その後、ウルトラマンはハヤタ隊員と一心同体になり、地球の平和のために働きたいと申し出て、ベータカプセルをハヤタ隊員に渡す。ハヤタ隊員は当然「これは何だ?」と聞くのだが、ウルトラマンの答えは…

「コマッタトキニ コレヲツカウノダ ソウスルト…」

ハヤタ隊員は「そうするとどうなる?」という当然の疑問を発する。だがウルトラマンは…

「フッフッフッフッ… シンパイスルコトハナイ…」

その後、赤い球はドカーンと爆発四散。

現場に急行した科学特捜隊のメンバーは、ハヤタ隊員は死んだと思い込む。ハヤタ隊員の要請を受けて特殊潜航艇を運んできたフジ隊員に向けてイデ隊員がニコニコ顔で「アキコ隊員、そりゃ幽霊だよ」などといってとり合ってくれない。

その後、ハヤタ隊員と連絡が取れたムラマツキャップは「いままでどこにいたんだ」と問いただすが、「キャップそんなことよりベムラーをやっつけるのが先ですよ!」と、ハヤタ隊員。キャップは「よーしわかった!」とか言ってハヤタ隊員の進言通り「ウルトラ作戦第1号」を決行する。

 

もし、ゆきぼうがハヤタ隊員だったら…

正直いって、もし自分がハヤタ隊員だったら、まず事故とはいえ自分を殺してしまった相手が「フッフッフッ…」とか言って渡した物を信用することは出来ただろうか。しかも、あの見てくれである。

「ウルトラマンは正義の味方」とみんな知っている今なら特になんとも思わないかもしれないが、よくよく考えてあのシチュエーションであの銀色でつり上がった目をしていて、自分を宇宙人だというあからさまに怪しい存在を信用できるだろうか。しかも、質問しても答えを教えてくれなかったアイテムを、緊急事態にイチかバチかで使う勇気は自分にはない。

しかも、初期のウルトラマンは顔が怖い。元々、喋るときに口が開く予定だったので、顔がラテックスで作られており、口の横になんかシワみたいなのがある。結局、口がうまく開かないのでこの設定は無くなったらしいが、13話まではこのマスクが使われている。いわゆるAタイプというヤツだ。

Aタイプは目がその後のB、Cタイプと違ってかなりつり上がっている。顔もたまご型というより、ひし形に近い感じで、しかもラテックス製なのでなんかボコボコしている。一言でいうとちょっとキモイ。

そもそも、ウルトラマンと一心同体になった時にハヤタ隊員の意識はどういう扱いなんだろうか。見る限り、ウルトラマンとハヤタ隊員の意識が同格とは思えない。

ウルトラマンの最初の説明では、困ったときにはベータカプセルを使えと言っているように、ハヤタ隊員はハヤタ隊員として独立した存在であり続けるかのような感じだったが、劇中ではどうもそうは見えない。明らかにウルトラマンの意識がハヤタ隊員のそれよりも上回っているように見えるし、実際最終回ではウルトラマンがハヤタ隊員の元を離れると、ハヤタ隊員はそれまでの事をまるっきり覚えていない。

勿論、これは色々と解釈の仕方があって、ゾフィーが最後にハヤタ隊員の記憶を消したとか、そもそもハヤタ隊員はずっと仮死状態だったとか、ファンの間でも様々な説があるが、制作側からハッキリとした答えが提示されたわけではないので、実際のところは謎である。

第1話でベムラーに攻撃を受けたハヤタ隊員は、小型潜水艇から出てなんの躊躇もなくベータカプセルを使用している。

子供の頃、やっと見ることの出来た第1話は面白かった。ウルトラマンとハヤタ隊員がどういう経緯で一心同体になったのかを知ることが出来て満足だった。

だが、いま振り返ってみると、素直に楽しむことが出来なくなっている自分に気がつく。30分という時間に収めるためにご都合主義で話が進んでいくのが気になって仕方ないのだ。

そういう意味で、自分はある意味で「大人」になってしまったんだなぁ…とか思う。

今の自分は、きっとウルトラマンが目の前に現れたら、彼の言葉を信じることが出来ないだろう。

そんな奴に地球の平和は守れないのだ。

ウルトラマン Blu-ray BOX I

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