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自分用備忘録的な何か。

別にナチスが寺院を殺すわけじゃないんだし。

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卍はナチスであるという記事。

先日、こんな記事を見かけた。

www.itmedia.co.jp

※この記事のソースである国土地理院のPDFはこれ。プレスリリースはこれ

記事の要点をまとめると…

  • 国土地理院が有識者会議のレポートを公表。
  • 外国人向けに地図記号をピクトグラムに置き換える。
  • 寺院は「卍」ではなく三重塔、ホテルはHではなくベッドのデザインなど。
  • 神社の鳥居や温泉マークなどはそのまま。
  • 地名の英語表記も◯◯山はMt.◯◯(「Mt.◯◯san」などはNG)などにする。

といったところか。

一番キャッチーなのは、やはりタイトルにもなっている「寺院の卍はナチスを連想させる」という部分だろう。まるで日本に対する欧米の文化汚染であるというような、過敏な反応もネットの一部には見られた。

元々のPDFを見てみると、今回の取り組みは2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた、訪日外国人にわかりやすい地図を作る為であることがわかる。

冒頭の記事ではまず真っ先に地図記号の話をしているが、ソースのPDFでは地名の英語表記の説明が先で、地図記号の話は23ページ目から始まる。ボリューム的に最も多いのは外国人に向けたアンケートの結果だ。

記事だけだとちょっとミスリードしている気がするので、元々のソースをよく読んでみよう。

 

卍を巡る見解。

一般財団法人日本地図センターによれば、「卍」が「寺院を表す地図記号」として採用されたのは、明治13年の事のようだ。

www.jmc.or.jp

Q23:「卍」の記号を、寺院として地図記号に使用するようになったのはいつ頃?


A:地図に記載する記号は、その約束事を定めた「図式」に規定されます。卍は、「明治13年式」と呼ばれる、わが国最初の洋式図式に「佛閣」として記載されています。 

元々、卍はヒンズー教や仏教でめでたい事の象徴として扱われ、欧米でも印欧語族の宗教的シンボルとして広く知られる記号だった。 

日本でも、古くは奈良時代から使われている馴染み深い記号で、多くの家紋にも採用されている。弘前市は市章に卍が使われている。

今回の国土地理院の報告書では、900を超える多数の外国人にアンケートを取っている。大使館や留学生、研修生、日本語学校の生徒、英会話学校の教師、そして街頭アンケートなどだ。

このPDFにはその主な回答が記されている。以下にそれらを書き出してみよう。ちなみに、案1は卍、案2は三重塔、案3はお寺の鐘のマークだ。

  • 案1と案2はやさしい 23名(ギリシャ、オーストラリア、中国10、シンガポール、スウェーデン 3、ブラジル、ドイツ 2、ベトナム、ベルギー、フランス、日本)
  • 案2と案3はやさしい 16名(フランス、スリランカ、香港、ドイツ、イタリア、中国10、英国)
  • 案1はナチスのマークと混同する(連想させる) 18名(イタリア2、米国4、中国、スイス、ロシア連邦、エジプト、オーストラリア 2、コードジボアール、エクアドル、フランス、アルジェリア、デンマーク、カナダ)
  • 案1は地図記号として採用しないで 3名(フィリピン、ペルー、中国)
  • 日本国内の地図に限れば案1で良いのではないか (カナダ)
  • より日本的なので案1で良いのではないか (イタリア)
  • 案 2 が最もわかりやすいが日本の文化的、歴史的な理由で決めた方がよい(デンマーク) 
  • 案1だとナチスに見える 7名(イタリア、スイス、米国、カナダ、オーストラリア2、フィリピン)
  • 案3が最も良い (スウェーデン)

ちょっと驚いたのは、卍に対して拒否反応を示しているのは必ずしも欧米の人だけではないという事だ。あの形からハーケンクロイツを連想してしまうのは、どうやら直接ナチスの被害を受けた国の人だけではないようだ。

 

アリなんじゃないの?

現在の日本人は、学校で地図記号を習うので卍が寺院を表す記号であることを知らない人のほうが少ない。だが、外国人はそうではない。あの記号が地図にあったとして、それが寺院であるとなんの知識もなしに分かる人はそうそういないだろう。

そもそも、この検討会は「外国人向けのわかりやすい地図」を作るためのものであって、今のところすべての地図を置き換えるという話ではないのだ。国土地理院の資料にも以下のように書いてある。

外国人向けの地図やガイドブックの説明資料としての活用を促進するなど、外国人の理解を促進するための取り組みが必要 となる

個人的には、外国人に向けた地図やガイドブックに向けた話なんだし、あんまり「日本の文化を汚された…!」みたいに言わなくてもいいと思う。外国人向けに用意する地図で外国人がわかんないのであれば、これほど馬鹿馬鹿しい話はないんだし。

Googleマップなんかはどういう表示になるのかな? むしろそっちの方が気になる。てか、海外版のGoogleマップの表記ってどうなってるんだろう? 

個人的には、英語表記の統一の方が「やっとかよ…」といった気分だったりする。お城はどうなるんだろう? 会津若松の 道路標識だと、鶴ケ城は「Tsurugajyo Castle」ってなってるんだけど、「Tsuruga Castle」になるのかな?

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