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自分用備忘録的な何か。

右手が使えなくても死ぬわけじゃないんだし。

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右手は友達だった。 

よく、大切なモノは失って初めて分かるとかいわれる。

昨年末に、雪国の人間にあるまじき転倒劇を演じて右肘の骨にヒビが入り、事実上使えなくなった。

最初はもう少し軽く考えていた。まあ、肘を痛めたとはいえヒビが入っただけだし、動かす事は出来るんだからそこまで不便にはならんだろう… 

ところがどっこい、関節部を痛めると影響がとても大きい。

まず、服を着たり脱いだりするのも大変だ。どうにかこうにか左手を袖から引っ張り出し、その後右腕をなるべく動かさずにそーっと袖から引き抜く。この際にちょっとでも捻ろうもんなら「ギギギッ…!」っていう感じの嫌な痛みが走る。

ペットボトルの蓋を開けたり、顆粒の薬のパッケージを開封するのもつい右手を使ってしまうが、力を入れると即ギギギッ…!である。

ご飯を食べる時も箸はなんとか摑めるが、食べ物を口に引き寄せるのが難しいので、顔を食べ物の方に持って行っている。はしたないが仕方ない。

お風呂に入った時も、ボディタオルを絞るだけでも痛いので、左手で無理やり絞っているもちろん体を洗うのも一苦労だ。 

何より辛いのが、家事育児がなに一つできない事だ。娘を抱っこしている時に腕の中で暴れられると支えていられない。オムツ交換など夢のまた夢だ。必然的に妻にほぼ全てを任せる事になってしまっている。

まだウチの娘は歩けないので、保育園のお迎えも抱っこしてこなければならない。だが、今の状態ではそれも不可能だ。結局のところそれも妻に任せっきりである。正直申し訳ない。あとで何か穴埋めをしたい。

ペンも持てる事は持てるがあまりエレガントな字は書けない。元々文字は下手くそだったので大した影響では無いかもしれないが、まさにミミズ文字である。

ちなみに、タイピングは出来る。捻る動作が加わらなければ問題無いので、キーボード操作は平気なのだ。だが、マウスはちょっとキツイ。家ではMacトラックパッドしか使っていないが、会社では普通のマウスなので、ヒイヒイいいながら仕事をしている。

 

使えないなら使えないで…

それはそれとして、右手が使えないとその他の部位を使おうとしていると、時々気づかされる事がある。普段は特に意識しないでしていた行動が、いざ右手が使えなくなってみるとこんなにも複雑な事をしていたんだなと、人体の神秘に感心する。

関節というものはとても重要で、日常のなんでも無い動きでもかなり関わっている。という事は、逆に言えばそこを痛めてしまうと物凄い制限がかかってくるという事だ 。

だが、人間とは不思議なもので、使えないなら使えないなりに別の機能を使ってある程度までは補完できたりする。今の自分にとって大きな味方なのは「口」だ。

服を脱いだり、ペットボトルの蓋を開けたり、薬のパッケージを開けたりする時に、口はとても大きな武器になる。生きている左手と口を駆使してどうにか日常生活を送っているのが現状だ。

そして、日に日に口の使い方が上手くなっている事に気がつく。今でもふとした瞬間に右手が出てしまいギギギッ…!となる事はあるが、頻度はだいぶ減った。自然と左手と口がまず出るようになってきたのだ。

そういえば、よく両腕の無い人が口で字や絵を描いたりしているのをテレビで見たりするが、ちょっとの間使えないだけでも口の使い方が上手になるのだから、生まれたときから無かったりする人は、それはそれは上手に使えるんだろう。

 

明るかったミノさん。

そういえば、子供の頃の友達で片方の手の指が全部無い「ミノさん」という子がいた。彼はとても明るくて、障害者であるという事を微塵も感じさせないナイスガイだった。だからこそ、彼は敬意を込めて「ミノさん」と、同級生なのにさん付けで呼ばれていた。

特に驚いたのがゲームの上手さだ。指が無くて手のひらだけなのに、ファミコンのボタンとかの操作がメチャ上手いのだ。アレにはビビった。ミノさんは愛されキャラだったので、多分どこに行ってもあんな感じで明るくやっているんだろう。

いまから子供の頃を振り返って思うのは、自分は本当に周囲の人に恵まれていたということだ。

例えば、ミノさんのように見た目で障害者とわかる友達でも、特にその事をバカにするでもなく、かといって気を使いすぎること無く、わりと普通に接していた。ひょっとしたら自分の目の届かないとこでミノさんがいじめにあっていた可能性もあるが、そういう場面は見たことがなかったし、なによりミノさんは明るかった。

自分も片親の家庭だったのだが、それを馬鹿にしたりいじめの種に使ったりする姑息な奴はおらず、普通の人(という表現が合っているのかは定かではないが)と同じようにすくすくと育つことが出来た。子供って結構残酷なのに、自分の周りにはあまり酷い人間がいなかった(皆無ではなかったが)のは、本当に幸福だと思っている。

とにかく、自分の場合はたかが1ヶ月半右手が使えないだけである。一生使えなくなったわけではないのだ。ウジウジ言ってないで、とっとと治すために前向きになろうと思う。

幸いにして、タイピングと同様にゲームのコントローラは握る事ができる。しばらくはゲームでもやって楽しく過ごそう。

ミノさんみたいに。