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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

釜揚げうどんを馬鹿にしていた事をここに深くお詫び申し上げます。

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エセ調理師ゆきぼう。

このブログでも何度か言っている気がするが、実は自分は調理師の免許を持っている。というのも、十数年前は東京で外食産業に従事していたからだ。

業務内容は店舗管理だったのだが、バイトに教育する手前自分も調理方法を覚えていなければならないため、最初の半年くらいはキッチンに入って調理をしたりしていた。その際に、手打ちうどんの打ち方も覚えた。

最初のうちはまるで出来なかった。当たり前である。学生時代は殆ど自炊しようとしなかったのだから、うどん打ちなど出来るわけがない。

だったらなんで外食なんぞに行ったのかと思われるかもしれないが、あの頃ちょうど山一證券が破綻したりして物凄い就職氷河期が来ていた。それに加えて、自分は田舎者だった為、極端な東京への憧れを持っており、東京で働けるのであれば職種はなんでも良かった。実際、内定を貰ったり最終面接まで行った企業を含めれば、レンタルビデオチェーンだったりIT企業だったりとまるで節操がなかった。

 

信じられるか? こいつ生きてるんだぜ…

うどんは生き物である。小麦粉を適当に塩水に混ぜてできているように思えるが、あれはかなりデリケートな作業で、その日の気温で塩水の濃度と小麦粉との配分が決まる。それは大体において職人の勘だったりする。マニュアルには書かれていない。自分の手で触って、実際に生地をこねてみて覚えるのだ。

釣りで使う浮きの様な形をした塩水濃度を計る道具を使って、ちょうどいい塩水を作る。そして、小麦粉と塩水を混ぜながらちょうどいい団子が出来るように混ぜていく。これを覚えるだけで3ヶ月くらいかかった。

そしてシートを敷いて生地を踏み、その後しばらく寝かせる。グルテン結合によりしっかりとした弾力を持たせるためだ。グルテン結合は多方向からの力を加えることにより網目状に組織が形作られて、独特の「コシ」を生み出す。だから踏むのだ。だが、踏んだ直後はまだ硬いので、ある程度寝かせる事によりちょうどいい弾力性を持たせる。そう、うどんはコネたてで打てばいいというものではないのだ。

あの頃、自分は常に茹でたてのうどんを食べていた。本来は食べられるメニューは決められていたのだが、どうせなら好きなものを食べたいし、バイトだって一生懸命頑張っているんだから美味しいものを食べて気持よく仕事をして欲しかった。だから、お店が自分に任されている時間帯は従食も自由に選ばせていた。

その時期の自分は体重が今よりも30kg以上多い100kg弱あって、当然食べる量も多かった。だから、どうせ食べるなら出汁がたっぷりのうどんを食べたかった。なので、ざるうどんやぶっかけうどんなどの出汁が少ないうどんは殆ど食べなかった。どうしても暑い時期にはぶっかけ を食べたりもしたが、結局一度も食べたことが無かったメニューがある。それは「釜揚げうどん」だ。

 

なぜお前は釜揚げを食べなかったのか…

うどんは大好きだが、何が気に入っているのかといえばあのコシだった。角の立ったうどんを口いっぱいに頬張ってモグモグ食べるのがたまらなかった。だから、茹で釜から直接器に取り出す釜揚げはなんか気に入らなかった。水で締めないうどんの美味しさを信用できなかったのだ。なぜかは今でもよくわからない。

昨日、たまたま夕食を外でとることになった。特に何かを狙っていたわけではないが、うどんでも食べに行こうと妻と話し合っていた。そして気がついたのだ。そういえば今日は1日じゃないか! そう、丸亀製麺では毎月1日は釜揚げうどんが半額なのだ。

なんとなく巡り合わせのようなものを感じて、半ば勢いで釜揚げうどんを頼んだ。うどんを打っていたわりに釜揚げは食べたことがないので、つけ汁に何を入れたらいいのかすらよく知らなかった。たしか盛り付けの時は生姜とネギを添えていたはずだ。とりあえずその2つと天かすを持ってきた。

そして、まるで桶のような器からうどんを引っ張りだし、一口食べてみる。

お、美味しい…

思っていたのとは全然違う味だった。

正直、流水麺みたいな食感になってしまっているのではないかと思っていたのだが、全然違った。ふわふわモチモチでありながら、その奥にはコシを感じ取ることが出来る。

丸亀製麺は踏み工程をプレスマシーンで行い、手打ちの工程はローラーで伸ばすだけだ。それでもこれだけ美味しいのであれば、足で踏んだうどんでこれを食べたらどれだけ美味しかったんだろう。

正直、十数年前の自分の頭をひっぱたいて椅子に座らせて「四の五の言わずに釜揚げ食っとけこのスットコドッコイ!!」と言ってやりたい。そして、絶妙の寝かしと手打ちを経たうどんを茹で、まさに最高の仕上がりの釜揚げうどんを食べてみたい。

だが、その願いはかなわない。もう自分でうどんを打つことは出来ないし、会津若松では丸亀製麺くらいしか讃岐風のうどんを食べられるところはない。以前にも言ったが、自分はうどん限界集落に住むうどん弱者なのだ。

potatostudio.hatenablog.com

この欲求を満たす方法は、もはやひとつしか無い。

そう、うどん県に行くのだ。

「うどん強者に、俺は、なる!」

いつかきっと。