読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

円錐角膜の人間が見る世界。

医療
目が悪いと感じたあの頃。

自分の目が悪いと自覚し始めたのは、社会人になってからだ。

東京に住んでいた時は当然電車通勤していた。あの頃はまだiモードなども始まっておらず、よく雑誌を買って電車の中で読んでいた。

自分は、サッカーが好きなので、サッカーマガジンやNumberなんかをよくキオスクで買って、電車の中で片手で持って読んでいた。

そういう雑誌にありがちなのが、大きな写真にかぶせて文字が書かれているページだ。自分は、そういう文字をずっと読みにくいと思っていて、特に黒い背景に書かれている白い文字なんて、目を細めないと読めなかった。当然、読んでいるだけでかなり疲れる。

視力検査なんてもう何年もやってなかったが、小学生の頃は両目ともに1.5くらいあった視力が、随分と落ちているのは明らかだった。

とはいえ、この時点では「最近目が悪くなったな〜」くらいの認識でしかいかなかった。

 

はじめてのコンタクトレンズ。

地元に帰ってきて、主にディスプレイ作業をする仕事に就いた。ということで、目の悪さというのはちょっと問題だな、と思うようになった。視力も左0.6 右0.3くらいまで低下していることがわかった。

このままでは車の免許の更新にも差し支えるということで、生まれて初めてコンタクトレンズを作ることにした。

そして、眼科に行って機械で何か測定してもらったのだが、どうも様子がおかしい。機械では自分の目は測定できないようなのだ。その後、色々な検査をして、医師から半分笑いながら言われたのが「物凄い乱視ですね」という一言だった。

なるほど、今まで目が悪いと感じていたのは乱視のせいだったのか。

乱視を矯正するためにはハードコンタクトの方がいいという話だったので、お試しでコンタクトのサンプルを目に入れてみたが、ものすごく痛い。あまりに痛すぎて顔をあげられなかった。暫くの間格闘していたのだが、数十分経った時に医師の方から「ソフトにしましょうか」と提案された。先生のほうが降参した格好だ。

というわけで、3ヶ月の使い捨てソフトコンタクトレンズを購入した。

たしかに、コンタクトレンズを装着していると、あらゆるものがくっきり見えるし、世界が違って見えた。いままで目を細めなければ見えなかった文字などもはっきり見えるようになったし、車を運転していても雨の日の信号機などはとても見やすくなった。

世界は自分が思っているよりも鮮やかだったのだ。

 

 

「あなた、病気ですよ」

3ヶ月後にまた眼科に行くと、そこはもう廃業するのだという。仕方ないので、次は駅前コンタクトに行った。やっぱり「凄い乱視ですね!」と言われた。

そして、コンタクト生活自体も長くは続かなかった。どうしても目の異物感とドライアイに耐えられなくなったのだ。というわけで、コンタクトレンズの使用に限界を感じた自分が取れる道はひとつしか無かった。メガネの作成である。

今回は、町でも評判の眼科に行くことにした。どうせならちゃんとした処方箋的なものを書いてもらって、きちんとしたメガネを作りたいと思ったのだ。

で、その評判のいい眼科でも当然機械は反応せず、医師と看護師が手動で自分の目の検査をすることになった。だが、今回はなんだか見たことのない謎の市松模様の検査機器とかが出てきて、駅前コンタクトや最初の眼科とは随分と違った検査内容だった。

そして、先生に呼ばれて最初に衝撃的な一言を言われた。

「あなた、病気ですよ。」

なに?

ら、乱視だとは聞いていたが病気だと!?

どうも、先生が言うには、自分は「円錐角膜」とう病気らしい。だいたい6000人に一人の割合である病気なんだそうだ。ということは、日本で2万人くらいはこの病気の人がいるということなんだろうか。

円錐角膜は、角膜が変形して徐々に尖ってくる病気である。角膜が変形してしまうので、うまく像を結ぶことが出来ずに、酷い乱視になったりして視力が出なくなってしまうのだ。

実際自分も、ものが見えないわけではないのだ。視力が低くてメガネをかけている人がよく言う「メガネを外すとぼやけて何も見えない」という状態ではない。ただ、細かい文字や数字、そして視力検査のあの記号が見えないだけなのである。

そういわれると、全てが納得できた。

文字が見にくいのも、普段の生活は裸眼でなんの問題がないのも、そしてハードコンタクトを装着した時のあの耐え難い痛みも、全て円錐角膜で角膜が尖っていたから起きていたことなのだ。

それにしても、駅前コンタクトの医師と最初の眼科の医師は、自分が円錐角膜であることを見抜けなかったわけだ。片方は廃業寸前、片方はコンタクト眼科ということで、ある意味仕方のないことなのかもしれないが、それにしても3軒目の眼科でやっと自分が病気であることがわかるなんて…

 

 

円錐角膜の見る世界。

最後に円錐角膜の人間が、世の中どういう風に見えているか図解して終わることにしよう。人によって当然差はあるだろうが、自分にはだいたいこんな感じで見えている。ちなみに、以下の例は裸眼の時に夜だったり雨が降っていたりと、コンディションが悪い時にそう見えるという例だ。メガネを掛けると改善される。

 

1.視力検査のマーク

f:id:potatostudio:20160307053628j:plain

ハッキリ言うと、穴の開いている方向がわからない。それでも大きいマークならまだ上記の画像のようにわかるのだが、これが小さくなるとまったく見えない。こういう細かい線で構成されたマークは円錐角膜にはキツイ。

 

2.信号機

f:id:potatostudio:20160307054337j:plain

冗談抜きでこんな風に見える。これで雨が降っていると対向車のヘッドライトと相まって何がなんだかわからない。メガネが無いと本当に夜は運転できない。まあ、免許が「眼鏡使用」なので、メガネを掛けずに運転したら駄目なんだけど。

 

3.しましま

f:id:potatostudio:20160307060355j:plain

ちょっと目に優しい色でサンプルを作ってみたが、これが白黒だったり黄色と黒だったりすると、本当に目がチカチカしてシンドい。あの視力改善のトレーニングの模様とか、自分にとっては拷問でしか無い。

  

4.黒地に白の雑誌記事

f:id:potatostudio:20160307055741j:plain

正直言うとこれが一番きつい。メガネをかけていてもかなり見えないし、見終わった後の疲労感が半端ない。なので、雑誌だけでなくてウェブサイトでも黒地に白のフォントのデザインのサイトはなるべく見ない。

 

と、まあこんな感じで、円錐角膜で乱視が酷いとかなりシンドい。なまじ、昼間は普通にものが見えているぶん、夜になった時の目の負担は半端ない。でも、40代までに角膜の先端が濁って見えなくならなければ病気は進行しないとのことなので、多分もうこれ以上悪くなることはないと思う。

それでも、この見えにくい世界と付き合っていかなければならないのはシンドいんだけど…