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自分用備忘録的な何か。

レトロゲーム回顧録その42 里見の謎

こいつはヤバイ雰囲気がするぜぇ。

さて、このブログ開設当初からやっているシリーズ「レトロゲーム回顧録」もめでたく42回目を迎えた。

え? 全然キリがよくないって?

そうなんです。でも、42というとなんとなく日本語では不吉な予感が漂う数字。四十二と漢字で書くとなお良い。そんな、厄がついている感じにピッタリなゲームを今回は紹介したいのだ。それが、1996年にPlayStationで発売された「里見の謎」である。

里見の謎

里見の謎

 

里見の謎は、元々カラオケなどの業界で業績が好調だった「サンテックジャパン」という会社が作ったゲームだ。勿論新規参入メーカーである。

スタッフには多くの「プロ」とはいえない人材が起用された。マルチメディア学院の卒業生が制作し、キャストは沖縄タレントアカデミーの生徒だったりした。

もうこれを聞いただけでやばそうな雰囲気が伝わってくる。そう、このゲームはそんなイメージ通りのゲームなのだ。

 

ぼく、あたまがヘンになっちゃったよぉ…

まず何が凄いって、ジャケットに「オススメRPG」とシールが貼ってあるのだ。お店が貼ったのではない。メーカーである。みずから「オススメ」しているのだ。なかなか大胆不敵。

そして、シナリオである。

主人公はある日壺を釣る。そして、家に帰り母にこう話すのだ。

「お母さん、ぼく、あたまがヘンになっちゃったよ…」

病院に行け、病院に。

その次の日、母は置き手紙を残して失踪する。どうやら主人公は選ばれし者らしい。しかたなく、街へ出て道場に行くと、めちゃめちゃ強い師範代がいて、一撃死したりするから油断できない。

謎の洞窟からタイムスリップするとそこは江戸時代。早速怪しいものとして掴まり、牢獄に放り込まれるが、家老が会いたいと言い出して、主人公が里見の城の若君であることが判明するが、超展開過ぎてよくわからない。主人公も「名前は◯◯ともうす!」とかいっちゃってるし。

現代と江戸時代の効果音が同じなので、ドアなのに引き戸の音がしたり、ところどころにつまらないダジャレが挟み込まれたり、江戸時代なのに「プレッシャー」とか「だよ〜ん」とか言ってみたり、指示を出してくる博士のヒントが全然ヒントになってなかったりする。

このゲーム、一事が万事この調子で、とにかく意味がわからない。頭が変になっちゃったのは自分なのではないかと錯覚すら覚える。あ、たしかにRPGだわ。主人公の精神状態をロールプレイングするとは新しい。

 

斬新なシステム(などと供述しており)

このゲームのもう一つの特徴は、数々の斬新な新システムだ。とはいえ、全然新しくない。自称新システムなだけで、よくある感じのシステムたちだ。では、順に紹介していこう。

  • PMLS(プログレッシヴ・マップ・リンク・システム)

マップが縦方向のみにスクロールする。つまり、縦方向というかぶっちゃけ上に行っときゃクリアできる親切設計。たまに分かれ道もあるのだが、大抵は片方は行き止まりなので、実質一本道だ。ちなみに、グラフィックスはSFCレベルである。

  • DCBS(ダイレクト・コマンド・バトル・システム)

戦闘時の攻撃先が◯□△ボタンに割り振られており、押しているだけで攻撃してくれる。複数のボタンを押せば複数の敵にダメージを与えることが出来る。わりと便利そうだが、与えたダメージが出ないので、戦闘時の駆け引きが出来ない。ちなみに、グラフィックスはSFCレベルである。

  • FECS(フラッシュ・エンカウント・コントロール・システム)

戦闘時のロードが早い。ただそれだけ。いいじゃんと思うかもしれないが、前述の通り画面がしょぼいので早いのは当たり前である。自慢するほどの工夫ではない。

  • じどう

主人公の名前を自動で決めてくれるというだけなんだが。むしろこれはけっこう面白く、単に乱数で文字を当てているだけなので、「おゑるこ」とか「ーぃある」とか読めない名前も出てくることがある。単なるジェネレータである。どうしてこれにはかっこいい名前をつけなかった…



君は、里見の謎の真の凄さをしっているか。

ここまで見てくると、はっきり行ってクソゲーだし評価するところなんてなさそうに思える里見の謎だが、一つだけ誇れる点がある。それは、目立ったバグもなしに、(バランスは最悪だが)最後まで問題なくクリアできることだ。

他にもいいところをなにか探すと、わりとBGMは良かったりする。ループは短いんだけど。あと、ラスボス戦の島紘子が歌う「流星のティアラ」は、80年代臭が凄く漂う曲ではあるが、なんか妙な中毒性がある。

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これがラスボス戦で鳴るのだ。DQⅧのラプソーンが劣化したみたいな、あのラスボス戦で。背景の星がキラキラしながらこっちに向かってくる映像と相まって、なんだかシュールな光景である。

江戸時代にタイムスリップして戦うRPGなのに、なんでこんなにスペースオペラ的な曲なのか。エンディングでも宇宙が出てくるけど、理解不能すぎて完全に置いてけぼり状態である。

戦闘のシステムなんかはブラッシュアップすれば面白そうなので、ちゃんとしたディレクターがちゃんとしたスタッフで作ればもっといいものが出来たかもしれない。

とくにシナリオの意味不明っぷりはどうしようもなく、オープニングからエンディングに至るまで電波が出っぱなしという恐ろしさである。しかも、最後は「To be Continued」。もちろん、続きは出ていない。

とはいえ、実はいまこのゲームは入手困難になっており、新品はプレミアが付いている。「お勧めRPGのシール」が貼ってあるやつは結構な金額になっている。だが、いまこのゲームを数千円を出して買うのであれば基本プレイ無料のF2Pゲームのほうがずっとマシである。

じゃあ、当時お前はなんでこのゲームを買ったんだ?という疑問もわくかもしれない。

当時、「ゲーム批評」という雑誌があり、その中のレビューコーナーで酷評されていたのがこのゲームなのだ。あまりの酷さに笑いが出て、思わず買いに行ってしまったというわけだ。

いまにして思えば、売らなきゃ良かったと思っている。ちゃんと「オススメRPG」のシールも付いてたし。

このゲームと「夕闇通り探検隊」は、売ってしまったことを今でも時々後悔している。