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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

レトロゲーム回顧録その43 ファイナルファンタジーII

怪我の功名(マジな意味で)。

中学生の頃、スキーで転んで靭帯を傷めたことがあった。

生まれて初めての松葉杖。最初の1週間くらいは学校に行くことも出来ず、ギブスでガチガチに固められた左足のおかげで、日常生活にも多大な影響を及ぼしていた。

動くと痛いので、必然的にあまり身動きしない生活が続き、非常に退屈していた。そこで、親が「暇すぎて可哀想だから」という事で買ってくれたのが、その冬に出たばかりの「ファイナルファンタジーII(以下FF2)」だった。

ファイナルファンタジーII

ファイナルファンタジーII

 

結局、靭帯は治るまで3ヶ月を要した。

自分は、その3ヶ月間FF2をやり倒した。幸いなことに、FF2は成長システムがやたら時間のかかるもの(普通にやってればの話だが)だったので、存分に楽しむことが出来た。色々と裏ワザなども発見し、振り返ってみればドラゴンクエストIII、ドラゴンクエストIVに次ぐやりこみをしたゲームになった。

だが、FF2は当時から「問題作」とされていた。あまりに奇抜なシステム、必然性を感じない死が訪れるシナリオ、そしてなんといっても反則技のオープニング…

果たして、FF2とはなんだったか。今回はそんな話をしてみようと思う。

 

カウンタードラクエ。

誤解を恐れずに言えば、初期FFの歴史はカウンタードラクエの歴史でもある。ドラクエではない何か、ドラクエにはない新しさ、ドラクエにはない凄さを次から次へと取り入れて進化してきたのが初期FFなのだ。

FF2は、ドラクエが日本ゲーム界にもたらしたRPGの文法を破壊するところから始まる。ゲームを開始するといきなり戦闘が始まるのだ。相手は黒騎士といういかにも強そうな敵。当然勝てるわけもなく、なす術なく敗北する。いわゆる負けイベントだ。

FF2はFFの続編なのにもかかわらず、FFに出てきた代表的な要素がほとんど出てこない。職業、クリスタル、そして、後におなじみになるあのテーマ音楽すら出てこないのだ。プレリュードがあることで前作との関わりを感じさせてはいるが、シリーズを通してみると、2はちょっと変わった作品だ。

最も特徴的なのは戦闘のシステムだろう。「熟練度システム」と呼ばれたそれは、当時は衝撃的だった。なにしろ、攻撃方法、魔法などが使用回数によって熟練度がたまっていき、その手段のレベルが上がるというシステムなのだ。

現代なら珍しくもなんともないが、ファミコンにおいては、ドラクエのように「戦えばレベルが上がり、自動的にあらゆる部分が強くなる」というシステムしか無かった時代である。最初は「どういうことなの…」と思ったものだ。

戦闘バランスは、敵に各種弱点が存在し、それを知っていればそんなに苦戦はしない。粘り強くやっていればガチガチに熟練度上げをしなければどうしようもないという事態には陥りにくい。だが、後述するシステム面の問題により、多くのユーザーはそれに気が付かなかった。

そして、シナリオも強大な力を持つパラメキア帝国に対抗する反乱軍という設定で、終始暗い。音楽も名曲なのだが暗いものが多い。とくにフィールドの音楽はモノ悲しさを感じさせるとともに、眠気を誘う。

ワードメモリーシステムというものが搭載されており、合言葉などを記憶して反乱軍であることを隠している人とコミュニケーションをとったりすることができる。後にドラクエが似たようなシステムを採用したことがあるが、それに何年も先んじていた。

シリーズの看板キャラクターであるチョコボが登場したのも2が最初だ。全体的に暗い雰囲気のなか、チョコボを見つけた時の「チョコボみーっけ!」というメッセージは、なんだか一服の清涼剤のように感じた。

 

 

裏ワザが自らを苦しめる。

戦闘における熟練度システムは、とても変わったシステムだったので、当時はファミ通などの雑誌で盛んに取り上げられた。そして、裏ワザ全盛期だったこともあり、「一度攻撃を選択してからキャンセルをすると熟練度を簡単に上げられる」という、神のような裏技が各誌にて紹介されていた。

当然、自分を含む世の中の子どもたちは真似をした。連射パッドのA、Bボタンの速度を調整すれば、ボタンを固定しているだけでどんどん熟練度が上がっていった。

パーティアタックをしてHPを上げるのも裏技として紹介されていた。FF2は戦闘開始時からHPが減ってさえいれば戦闘終了時にHPが上がる仕組みになっているため、仲間同士の殴り合いという地獄感のある戦闘が各地で繰り広げられた。タクティクスオウガの仲間同士の石の投げ合いみたいで、なんだか滑稽だった。

そして、ガンガンにあがった攻撃力とHPで楽勝にゲームが終わる。殆どの子供はそう思っていたはずだ。だが、開発陣がどこまで読んでいたのかは不明だが、これくらいではこのゲームは楽勝にはならない。むしろ、これだけ攻撃力とHPを上げたにもかかわらず、ゲーム終盤では苦戦することが多かった。

なぜなら、このゲームでもっとも重要なのは回避率だからだ。

回避率は攻撃を受けなければ上がらない。だが、過剰に上げすぎた攻撃力で中盤までの敵を一撃で倒せるようになると、終盤で突然強い敵や割合ダメージを繰り出してくる敵に遭遇し、苦戦することになるのだ。

そしてもう一つ、とても重要なシステムがあった。それが「魔妨率」だ。

魔妨率とは、強い武器・防具が使用者の魔法効果を下げる割合のことを言う。つまり、強武器・防具を装備した状態で魔法を使ってもショボい結果しか得られないというものなのだ。

おそらく、製作者は「重装備キャラで物理攻撃、軽装備キャラで魔法」という使い分けを狙ったのだろうが、恐ろしいことにこのステータスは隠しステータスになっており、普通にやっていたらわからない。そして、ゲーム内でも説明書でもこの魔妨率に関する説明は一切ないのだ。自分がこの事を知ったのもネットが普及して、解析による攻略が掲載されてからだ。

そんな事はつゆ知らず、魔法の熟練度を上げても上げてもショボい攻撃力しか出ずに、終盤のダンジョンではかなり苦戦した。そしてわけも分からず熟練度をひたすら上げる日々を過ごしていた自分に、ある日朗報がもたらされた。

「敵にウォールをかけてからデスをかけると一発で死ぬらしい」

マジかよと思ってやってみたら本当だった。

もうパラメキア城も皇帝もなにも怖くなかった。FF2は「敵にウォールをかけてデス」するだけに簡単なゲームになってしまった。バカバカしくて普通に熟練度を上げるのなどやめてしまった。いわゆるバランスブレイカーと言う奴だ。

FF2は、きちんとシステムを説明していれば、また違った評価になったかもしれない。少なくとも魔妨率に関しては、攻略本にだけでも書いておくべきだったと思う。面白いことは面白いのだ。ただ、当時は苦行に思えてしまっただけで。

ウォールデスでラスボスを倒し「ウボァー」の断末魔を聞いた時、なんとも言えない虚しさが残った。ヨーゼフは、ミンウは、何のために死んでいったんだろうと…

結局、FF2を安易な方法でクリアしてしまった自分の足は、まだ治っていなかった。

ラスダンでまじめに各種ステータスの熟練度を上げよう。正々堂々戦おう。そして、ちゃんと皇帝を倒そう。

その願いは、足が治ってからしばらくして叶えられることになる。